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華燭のまつり  作者: 白崎なな
第3章。天空街にいくの!?
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23。赤い提灯!?

 空から降ってきた紙が頭にひらりと落ちてきた。その小さな紙を手に取った。

 最初の律さんのお店で見た、文字であろうが読めない字が記載されていた。 



 「これは、どこのお店の妖が水揚げされたって書いてあるのよ」

 ほっぺがくっつきそうなぐらい、顔を近づけてきた和さんが教えてくれた。



 鳥居をくぐってから、周りの音楽の音やら話し声やらで会話をするには顔を近づけないと何も聞こえなかった。



 「そういうことが書かれた紙が、降ってきているんですね。私には、ここの文字が読めなくって」



 「そうなの? 人間界で使う文字とは全然違うの?」



 「こんな、ミミズみたいな文字を使いません。妖界あやかしかいの文字すらも読めない…… こんな私は、木偶の坊ですね」



 「ふふふ。今から覚えたらいいのよ!」

 そう言って和さんは、私の肩をトントンと叩いた。



 前を見るとそれまで道に人がごった返していたのに、突然道をあけ始めた。



 ーーカポン。ザザザァ。


 (花魁道中だ。テレビで見たことある。

 お得意のお客さんと一緒に茶屋に入っていくやつ。

 今でいう、 "同伴" ってやつだよね?) 



 花魁の後ろから差された真っ赤な傘。その赤い傘の先についている金の飾りが音を立てている。花魁を中心に二足歩行の猫が赤い提灯を持って並んでいる。花魁の表情は、赤い傘に隠れていて伺えない。



 どんどんこちらに向かってくる。私は、邪魔になると思い他の妖たちに習って道を開けようとした。

 私の真後ろに立っていた暖さんが、私の肩に手を置いた。そして、頭にサクッと何かを刺された。耳元に顔を近づけられる。



 「もし、何があってもこのかんざしだけは持っていけ。これがあれば、なんとかなる」



 暖さんは言いたいことだけ言って、私から離れる。振り返ると、私をじっと見る暖さんと目が合う。身長差があって、私から話しかけてもおそらく聞こえない。

 なので、こくんと頷いて返事をした。



 (そういえば、前にかんざしに妖力を込めて販売をしてる。って律さんが教えてくれてたよね。もしかしたら、いま頭に刺されたかんざしってそれなのかな?)



 道をあけそびれたが、どうやら彼女たちの目的は私たちらしい。高下駄の音が、目の前で止まった。


 「よう、来てくれんした」



 綺麗な澄んだ声が聞こえてきた。赤い傘が上に上がり、声の主の顔がようやく見えた。目が合うと、ふわりと微笑みかけられた。その妖艶なる姿に息をのんだ。



 その花魁は、おそらく人間だった。頭の上に耳はなく、私と同じ人間の耳。身長も高下駄を履いていて高いが、脱いだら私とほぼ変わらないだろう。


 ただ、人の姿だが妖。ということもあるので、おそらく人間ではないか。と考えた。


 (そもそも、人間と人間風の妖との違いって何か知らないし。この人が、人って言われても妖って言われても…… もう驚かないよね)



 赤の提灯を持った猫の妖に、案内をされるままうしろを着いていく。

 ここにくるまで列をなして来ていて、花魁の後ろにたくさんの二足歩行の猫がいた。私たちは、花魁と傘をさしている猫の後ろを歩いていた。さらに、私たちの後ろを二足歩行の猫が提灯を持って並んでいる。



 (そういえば。誰に向かって、 "よく来てくれました" って言ったの?)



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