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華燭のまつり  作者: 白崎なな
第2章。私は必要ですか?
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12。どんな街?

「とりあえず、昨日できなかったし! ここの街を案内してあげるね〜! なごみのところにお洋服預けてるでしょ?」



「あ! そうでした! 取りに伺わないと行けないんでした!」



「律。後はよろしく」


 そう言って二度寝をしようと、もう一度暖さんは布団にくるまった。


「いいけど……今後一緒に過ごすかもしれないんでしょう〜?それに、今は妖界あやかしかいのお試し期間なんでしょう? いいの? 僕が行っても」



「いい。俺が行くより律の方が楽しいだろう」



「はいはい。黒狐こくこ白狐びゃっこ

恋坡ちゃんの準備手伝ってあげて〜」



「「はい! こちらのお部屋で準備をしましょう!」」


 その声に待ってました! とばかりに布団から勢いよく出て来た。白狐は、想像通り白の髪の毛の少女だった。下の方で一つ結びにしている。


(2人はいつの間に起きていたの?)



 2人に両腕を引っ張られて別の部屋へ連れてかれる。


(それより、この神社……広すぎない?

 これは、ひとりで歩いてたら迷子になるよ。)



 部屋の中央には、姿見が置いてあった。その隣に和さんのところで貰った、緑の生地に牡丹が描かれている着物がシワにならないようにかけられていた。


「寝間着に着替えさせて頂いたのも、私ですのでご安心ください」



「黒狐さん、ありがとうございます」



「いえいえ。当然のことをしたまでです! 着付けをしていきますね」



「よろしくお願いします!」


「……」



「白狐さん? もよろしくお願いします!」




「白狐は人見知りをするんです。悪気があるわけではないので……」


(妖にも人見知りと言うのがあるのね!)


 


「大丈夫ですよ! そんなこと気にしないですから!」


 和さん同様に、素早く着付けも髪をととえて支度を手伝ってくれた。



「ありがとうございます! 自分でも着れるように、練習しなくちゃですね!」



「いえ、九尾の奥方には私たちがつきますから!

 練習しなくても大丈夫なのですよ!」


 少し背伸びをして、自分たちに任せて! と胸を張った黒狐に言われる。その黒狐の後ろにささっと、隠れていた白狐も顔を少し出して頷いていた。



(迷惑かけたくないんだけどなぁ。それぐらい自分でできるようにって思うけど。

 そして、もう2人からもお嫁さん確定なのね。私。)



「街は、活気で満ちていますよ! 楽しんできてくださいね!」



 そうこう考えているうちに、黒狐と白狐に手を振られ見送られた。律さんと2人で街に降りた。



 千本鳥居を潜り抜けた先に "授与所" と書かれたこじんまりとした建物があった。窓口は黒の垂れ幕がされていてやっていないようだった。


(こんな建物あったかな? じゅよ? 何を授けてくれる場所なんだろう?)


 じっと建物を見ていた私に、律さんが説明してくれた。

 


「ここの授与所は、元々は暖のお父さんがやってたんだよ〜」



「お父さんが……」


 律さんは、自分の耳を指でさす。



「そう!暖って、耳無かったでしょ? 妖力が多いとより人間らしい姿になれるんだよ!」



「だから、人間らしい姿の妖が少ないんですね!」



「そういうこと!

 で、とりわけ九尾になると妖力が多くなる。妖力の弱い妖に、妖力をこめた物を授与所で売ってるんだよ〜。


 かんざしとか、帯に付ける飾りとか! 結構みんな持ってるんだよ〜!」



「なるほど……?

 それも九尾の街の安定のためのお仕事なんですね!」



「うん。お父さんが今弱ってて、お店を閉めざるおえない状況なんだよ……」


(うーん。街の安定のために九尾にならないといけない、か。

 なんか、暖さんもかわいそうだなぁ。)



 街は城下町のようになっていて、たくさんの店が軒を連ねていた。黒狐さんの話していたように、街はたくさん妖で賑わっていた。



 来た時には、 "食べられるかもしれない" と言う心配で周りの様子を見る余裕もなかった。




 お茶屋さん、呉服店、床屋、本屋……

たくさんの妖がいろんなお店をやっていた。



「どこか見たいお店とかある〜? どこでも案内できるよ!」



「とりあえず! 和さんのところに行きましょう!」



「あとでもいいのに〜。

 まあでも、和も一緒に街を歩いたほうが女の子同士で話しやすいかな〜?」


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