77話 入学祭のライブ日程が決まったにゃー
「シャーリンちょっといいか?」
私はいつも通りトレーニングをしていると、急にシュレーヌさんから呼び出される。
結構シュレーヌさんにはいきなり呼び出されることが多いのでもうすでに、慣れている所はある。
「なんにゃ?」
「あぁ、入学祭の話なんだが、私の独断だが期間を伸ばしてもらうことにした。それで開催日は1か月後でどうだ?」
「1ヶ月後にゃ?でもミシュは……」
「ミシュに関しては、参加はさせてあげることは出来るだろう、治療をしたら飛べはしないが演奏をすることは出来るだろう、と病院の人からも言われている」
私はシュレーヌさんに参加しないといったのだが、わざわざ期間を引き伸ばしてくれたらしい。
だがさすがにライブ会場は急に抑えられないはずだけど……
「ライブ会場はどこにするにゃ?」
「ああ、実は1ヶ月後に1年に一度開催する伝統的な大音楽祭があってな……場所はランビスランドだ」
「にゃにゃ!?それって……」
「シャーリンが夏祭りの時に招待券を獲得しただろう?それで、イベント参加として、入学祭の続きをさせてくれないかということで、お願いしたんだ」
「あの招待券って私たちだけじゃないにゃ!?」
「ああ、一応は招待者が許可さえすれば、人数は無制限の特別チケットだ」
「もちろんやるにゃ!」
「そう来ると思ったぞ、私たち【爆速ランナーズ】も全員で参加することにしたからな。まぁ今回は20組全員がライブをして盛り上げるという趣旨のイベントだからな。もう対決は終わりだ、あとは無事成功することを祈るだけだな」
「頑張るにゃ!」
ということで私はシュレーヌに頭を下げるとそのまま部室に戻る。
もうすでに皆は揃っているようだった。
まぁ……シュレーヌさんに呼び出されたとなると、何かしらの話をしてきたとすぐにわかるのだ。
ということで私はシュレーヌさんに言われたことをありのままでみんなに伝えた。
「そういえばそんなチケットシャーリンさん獲得していましたわね」
「すっかり忘れていました……」
「そういえばそうですわ~」
「あなた達、結構いろいろ凄いことしてたのですね」
「フランにまで認められたにゃ~すりすり~」
「ちょっと……そんなにすり寄ってこないでください……あなた私が入ってからちょっと甘くなってません?」
「そんなことないにゃあ~」
実際そうである……
猫というのは自由気ままなところもあるのだが、気に入った相手にはかなり甘えるようになる。
私はもろにフランに気に入ってしまったらしい……いやどちらかと言えば、ミシュがいなくなったせいでフランに甘えが向いたというのが正しいだろう。
なんだかんだ、フランも私の頭を撫でてくるので、嫌ではないとは思っている。
そんなことはともかくとして、ライブの日程が決まったということは、その分練習にも焦点を置くことになるのだ。
決して、ミシュの問題は終わったわけではない。
むしろここからの復帰桜蘭が一番大変なのだ。
「リーダーは一体どうするべきと考えていますの?」
「にゃうう……恐らくミシュに楽器を持たせるのは無理にゃ……」
「やはりそうなりますよね……ですが他に何か考えがありますか?」
「はぁ……見学させてたらいいんじゃないの?治ってから、私たちのライブに参加させたらいいと思いますけど」
「それはダメですわ~ミシュは私たちの仲間ですわ~」
「じゃあどうするつもり?」
「うにゃああ……」
(ミシュの楽器は確か……ピアノ……羽には特に問題はなさそうだけどにゃ……それでも羽には悪いにゃ……私たちのコンセプトは多楽器バンドにゃ……となると)
「みんにゃ!急に申し訳ないにゃ!全員の楽器を変えるにゃよ!フランはなんにゃ?」
「私?私はヴァイオリンが得意だけど何?」
「分かったにゃ!私は、琴&ボーカル、エリが和太鼓、ロミをギター&ボーカル、フランをヴァイオリン、ミシュを尺八&ドラ、スライをピアノにするにゃ!」
「「「……??」」」
もちろん皆からは何の返事もない。
それはそうで琴がこの世界にないのならば、尺八も和太鼓もドラもあるわけがないのだ。
「楽器は私のお金で作ってもらうにゃ!一応来てからまた説明するにゃよ!」
「それはいいのですが、何故私がギターなのですか?ギター初めてなのですけど……」
そう、ドラムをやっていたのであれば、和太鼓はロミに任せるのが普通。
しかし、和太鼓にはそれなりのパワーがいる。
ロミも確かにパワーがあるのだがエリには敵わない、しかもロミに関しては頭がよく、すぐに覚えてしまう。
だからこそ初めてで、伸びしろのあるギターを選んだのだ。
「ロミには出来ると信じているからにゃ」
「本当に、甘い考え方ですね……良いでしょう。しかしやるからには本気で行きますよ?」
「もちろんにゃフラン!」
ということで私たちは、琴、和太鼓、ギター、尺八&ドラ、ヴァイオリン、ピアノの多楽器バンドが結成されることになったのだった。
前世でも、和楽器を主体としたバンドはあったのだが、ここまで多くの楽器を使っているバンドを私は見たことがない。
しかし、個性が違う私たちが合わされば、確実に革命がおこる。
そう信じてこのバンドを……【シャースミミリン】というグループを作ったのだ。
全員が合わないと【シャースミミリン】は成立しない。
私はそう信じている。




