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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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外伝5ー1話 クリスマスパーティーにゃー


 買い物を終えた私はそのまま寮のキッチンを借りて料理を始める。

現在の時間は午後19時でもう皆夜ご飯を食べ終わり、料理人も全員帰った後となるために、使わせてもらったのだ。


今回のパーティー会場は寮ではなくミシュの病室、一応手術は来週からなので、それまでは自由に病室に来ても良い、という許可が下りたのだ。


「ちゃんと美味しい料理を作らにゃいと……ミシュをがっかりさせてしまうにゃ!」


ということで、私は何を作るかというと……

グラタン、から揚げというなかなかなメニューだった。

何故この2つなのかというと、前世の主人が作って一人でよく食べていたのがこの2つで、私はこっそりとレシピ表を覗き見しておいたのだ。


(こんにゃところで、あのレシピ表に頼るにゃんて……私ついてるにゃ!)


ということで前世の記憶を頼りにどんどん作り上げていく……正直自分で作るのは初めてなので、上手に作れるのかどうかは全く分からない。

けど私は私のやり方でミシュを楽しませてあげたい……ただその一心で作り続けた。


「できたにゃ!!はぁ……はぁ……」


時間を見ると22時を過ぎていた。


どうやら6人分の料理を作るということで、ちまちま作り直しをしていたら4時間も経過してしまったらしい……

本来はもっと早めに終わらせる予定だったのだが、なかなか思った通りの味にならなかった。


「これでミシュたち喜んでくれるにゃ!」


正直明日作って熱いまま食べさせてあげたかったのだが、他の準備もあるため、今日に作らざるを得ないことになってしまった、という経緯がある。


「まぁ……作れたからいいにゃ~」


私は料理をとりあえず自室の冷蔵庫に入れる。

なんとこの寮には2人部屋のそれぞれ自室に冷蔵庫、トイレ、お風呂が付いている。

前世の記憶で話すのならば、1つの部屋に、ホテル部屋が2つ隣接しているという考え方だろうか。

とりあえず明日も忙しいので、今日はこれで寝ることにする。


そして今日、12月25日……いよいよクリスマスの日がやってきた。

私とエリ、ロミは学園の正面玄関に集まる。


「今日はミシュの病室大改造計画しますわよ!」

「ちゃんと病院とは和解はしていますからね、ミシュは今日病院の行事ということで15時までは行けます」

「じゃあ行くにゃ!」


ということで、私たちは早速病室に向かう。

昨日作った料理とケーキはエリが頑張って持っている。

他に、クリスマスパーティーで必要なものと言えば……クリスマスツリー、リース、雪だるま……は室内だから無理か……

とりあえず出来ることは、クリスマスツリーとリースを作って飾ること……素材は昨日買ってくれたのでそこはひとまず安心する。



「とりあえずツリーのセットを組み立てるにゃよ!」

「大丈夫ですの?ただの木ですわよ……」

「これがピカピカの木になるとは到底思えませんが……」

「そこで私の腕の見せ所にゃ!」


ということで木は、パワーのあるエリに組み立ててもらった。

高さはちょうど3M位だと思う。

私は早速クリスマスツリーには欠かせないあるものを収納鞄から取り出す。

この収納鞄は本当に便利で、入れておけば何でも取り出すことが出来る、しかも時間停止が付いているため食材も腐らない。

スラチオ学園入学祝いに学園から渡されたもので、かなり愛用している。


「それは金の星ですか?」

「それをどこに付けるんですの?」

「エリ!肩貸してにゃ!」

「良いですわよ」


ということで私はエリの肩に座る。

エリはかなり身長があるため、楽々と木の頂上に取り付けることが出来た。


「おおー!いいですわ!星を付けるだけで印象が全然違いますわ!」

「じゃあ早速にゃ!三人でこの装飾品を木の葉に括り付けていくにゃよ!」


ということで私たちは早速、木の葉に装飾品沢山付けていく……

3人いるので結構速いペースで取り付けては行けているのだが。


「終わりましたわ!」

「途方もない時間、かかりましたね」

「4時間かかったにゃ」


そう装飾品と豆電球を取り付けるのに、かなり思考錯誤したわけで、ミシュが帰ってくるのはあと3時間後、それまでに残りのリースと料理の準備をしないといけない。


「なかなかハードだけど頑張るにゃよ!」


ということで私たちは早速リースを作り壁に貼り付けていく……

無論、針は使えないので許可が下りたテープで固定をすることになった。

これもなかなか時間がかかるもので、一室全体ともなるとかなり手間がかかる。

ちなみにここの病院は、一室1ベッドとなっているため他客の心配はない。


「装飾何とか完成しましたわ!」

「残り1時間ですよ!車輪さん食堂に行って急いで温めてください!」

「分かったにゃ!」

「何やら慌ててますわ~」

「何でこんなに遅いの?もうミシュ来るよ?」

「2人共いいところに来ましたわね!手伝ってちょうだい!フランは装飾を!スライは大急ぎでシャーリンからの料理をこの部屋に運んでくださいませ!飛んだら他の客に当たらないですわ!!」

「はぁ……まったく」

「分かりましたわ~」


と最後ものすごくバタバタしたのだが、なんとか10分前にすべて準備をすることが出来た。

後はミシュが帰ってくるのを待つだけ、ひとたびの緊張が走る。


ガラガラ!


(来たにゃ!)


「あれ?電気真っ暗……えっと、明かりは……」

「「「「メリークリスマス!!」」」」

「うわああ!?なに!?」


と明かりがついた瞬間、盛大にクラッカーの音が鳴り響く……

つくづくこの部屋に感謝をする……この部屋がカラオケ屋並みの防音設定であることを。

だから、このような盛大なクリスマス会を許可してくださったわけで……


「なにこれ!!?すごい!!木が光ってる!なにこれケーキ!?初めて見た!」

「すべてシャーリン考案ですわ!」


ミシュはしばらく部屋を見回り歩いている……

よほどうれしいらしい。


「ささっ!早く食べますわ~」

「スライはただ食べたいだけでは?」

「よーしじゃあみんなで食べるにゃ!いにゃにゃきまーあす!」


私たちはその後、満足いくまで料理とケーキを食べつくしたのだった。

まぁ……1人スライが突出して食べていたのだが。


(さて、そろそろ私の番かにゃ)


私は大きな横長の箱を取り出す。

これが私から皆への感謝への気持ち。


「みんにゃ!メリークリスマス!」

「なになに?」

「なんですの?」

「なんですか?」

「なんですの~?」

「なに?まだあるの?」

「これを見るにゃ!」


私は大きな箱を開ける。

そこにはサンタの衣装を着た皆の木の人形が並んでいる。


「これは私からみんにゃへの感謝の気持ちにゃ、私と出会って助けてくれて、そして仲間だと言ってくれて、ライバルだと言ってくれて……【シャースミミリン】に入ってくれて……本当に感謝してるにゃ!だから……受け取ってほしいにゃ!」


私は頭を下げる。

皆は初め、とても驚いた顔をしていたのだが、黙ってひとつづつ手に取ってくれた。

しばらくして皆も後ろを向き何かを取り出す仕草をする。

そうして手を後ろに隠し私の方に体を向けると……


「じゃあ、予定通り!一斉に行きますわよ!」

「にゃにゃ?」

「せーの!」

「「「「「リーダー!これからもよろしくお願いします!」」」」」


と差しだされた皆の手に持っていたのは、それぞれ違う一輪の花。

私が一番驚いたのは、フランも花を持っていたこと。

全然気づかなかった……いつの間に用意していたのか……


「実は私ね、クリスマスパーティーするって知ってたんだよね!まぁ……ここまで凄いとは思ってなかったけど……」

「私が提案しましたわ!私たち全員を繋げたのはまさしくリーダーですわ!」

「はい、私たちはずっとあなたと一緒のグループですよ」

「私のことも助けてくれたもん!初めて会ったときから親友だもんね!」

「そうですわ~私もシャーリンと出会って楽しい生活になっていますわ~これからも宜しくですわ~」

「まあ……私は仕方なしだけど!これからよろしく、リーダー。でもここのトレーニングはダメ、私が入ったからには、きっちりとトレーニングはしてもらいますよ?」


私はついつい涙があふれてしまう。

こんな経験前世では全くなかった、むしろ前世は私が強すぎて周りが逃げ出す程なのだ。

唯一、ずっと私の傍にいてくれていたセレム以来の感覚……


「こんな一輪の花でもみんなが集まれば……キレイな花束になりますわ!」

「みんにゃ……本当にありがとうにゃ」


私たちはその場できつく抱きしめ合う。

この抱きしめは、好きとかではなく今後ともライバルで仲間だという確かな証拠になる。

楽しい楽しい今年のクリスマスは、こうして幕を閉じたのであった。

クリスマス外伝ありがとうございました!次話からはまた本編に戻りますので、よろしくお願いいたします!

ライバル、友情って本当にいいですよね。

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