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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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6話 やっとの宿屋にゃ


 ミシュはずっとテレビの画面を見続けていた。シャーリンの走りは初めてという感じではなくむしろ一級レースにも通用できる走りだった。


「なぁあの当日枠やばくない?初手逃げ戦法にも驚いたけど……ロミとエリが付いていけてない……」

「今回のレースが初めての新人だよね?2人も今回は1級レースじゃないし手加減してるんじゃないの?初めてならペース配分も分からないだろうし」


という声もミシュの周りから出始める。確かに逃げ戦法は特に多く持久力を必要とするためする人が少ないのだ。


「さぁシャーリンが大きく逃げているぞ!ロミとエリはとらえることが出来るのか!まもなく半分の標識を通過します!」


ニリが叫ぶ。

ベテランのニリからしても、やはりこの状況は異常事態らしい。


「さぁ……レースはここからですよ、注目していきましょう」


セイラが落ち着いたように話す。

セイラに関しては、元からあまり興奮するタイプではない。

しかしこの反応はかなり興奮しているとは思う。

ここまで話すことは滅多にないのだから。


「おっと!エリとロミがどんどん上がってくる!これはシャーリンのスタミナ切れか!」


ミシュは目を丸くする。そう若干だがシャーリンのペースが落ちロミとエリがペースを上げどんどん近づき……追い抜かした。


「さすがにスタミナ切れかぁ……応援してたんだけどなぁ……あの子」

「むしろここまで引き延ばしたのはすごいよ!さぁロミさんを応援しましょうか!」


ミシュは祈ることしかできなかった。

……がここから想定外な事が起きるのだった。


「はぁ……」


ミシュが下を向いた、その瞬間。

モニターのざわめきで、再び顔を上げる。


「なんとシャーリンが残り50メートルのところでさらに加速!!今までは本気ではなかったのか!どんどん2人に迫っていきます!」

「これは分かりませんよ!」


実況と解説の人も興奮していた。

どうやらモニターの中で、とんでもないことになってるらしい。

ミシュは目を開け、モニター画面を見ると……

猛烈な速度で2人を追いかけている、シャーリンの姿があった。

本来ならばあり得ない、【大逃げ】というのは、初めに逃げてそのままゴールする戦術なのだが、今のシャーリンは間違いなく【追い込み】レベルの追い上げをしているのだ。

簡単に言えば【大逃げ】で初っ端爆速しているにもかかわらず、最後【追い込み】レベルの脚力で、もう1回爆速する。

2回の加速、こんなこと普通はあり得ないはずなのだ。


「いっけー!シャーリン!」


思わず叫んだ。あまりの声だったのか周りが一斉に振り向くも気にしない。


「ぬかせー!」


周りからもシャーリンを応援する声が増えてきた。


「抜いた!!シャーリンがなんとエリを抜かしました!」


この時周りから歓声が沸く。


「すごい!あのエリさんを抜かすなんて!」

「見て!ロミさんも抜かしそう!」

「いっけー!」

「頑張れー!!」


「シャーリンがロミに迫る!しかしここでゴール!シャーリン惜しくも抜かせず2位に入りましたー!そしてなんと……エリさんのタイムは1分45秒シャーリンのタイムは1分33秒!ロミのタイムは1分30秒!3人共に大会レコードです!」

「これはとんでもない出来事ですよ、私も長年解説をやらせていただいてますがこんなことは初めてです」


会場内がどよめきと発狂に包まれた。


「やばいって!私歴史的瞬間見れたよ!」

「見に来てよかったね!」

「良いレースをありがとうー!」



「大会……レコード……」


ミシュはテレビに出ているタイムを見ると思わず涙が零れた。


その後の表彰祭に関しては、シャーリンは片手を振っているだけだったが、ミシュは両手を振り楽しんだ。




私は廊下を出るとそのままミシュの方へ走っていった。


「やったにゃ!」

「おめでとう!シャーリンちゃん!すごいよ!レコードなんて!」


私達は思いっきり抱き合った。


「いやぁ……たまたま作戦がうまくはまったにゃ」


私は頭をかくと周りから拍手が沸き起こった。


「あはは……ありがとにゃ」


私達は頭を下げニリがいる部屋に向かった。


「おめでとうございます!シャーリンさん」


ニリが笑いながら袋を渡してくる。


「なんにゃ?これは」


中を見ると金貨と金貨らしきものがたくさん入っていた。


「はい、レースは出場するだけで参加賞として白金貨1枚を贈呈します。そして1位の方には金貨200枚2位の人には金貨100枚3位の人には金貨50枚の報酬がありますので……」


後から聞いた話なのだが、大金貨が1個で10万円、金貨は1個で1万円、白金貨が1個で5000円、銀貨が1個1000円、白銀貨が1個500円、銅貨が1個100円、そして白銅貨はくどうかが1個50円、鉄硬貨てっこうかが1個10円、石硬貨せっこうかが1個1円という仕組みになっているらしい。


「100万円にゃ……」


私は小さく呟く。

前世では何が買えるのだろうか……


「どうしましょうか?現金が苦手ならばこのカードを使うことも可能ですが」


とニリが青いカードを持ってくる。


「どう使うのにゃ?」

「はいお見せしますね」


とカードを下に置き上に袋を置く。


「にゃにゃ!?」


そう、なんと袋が白い光に包まれ消えたのだ。


「これでこのカードには今の分の金が入っています。確認する為にはカードをタップすればどれだけ入っているのか確認できます。また使用者の魔力を使っているため別の人は使用不可能です」


私はこれを拒否する必要もなくむしろ進んで受け入れた。


「分かりました。ではカードの上に手をかざしてください」


私は手を乗せる。

青白い光が一瞬だけ見えると、カードの表紙に【シャーリン】と刻まれた。


「完了です。これでいつでも使えますので、報酬でもらいたいときは、カードを出していただければ、この場で袋ごと収納する様子を見せるので、安心してくださいませ。あとは、落としても自動で手元に戻ってくるので、盗まれる心配はありません」


私は頷くと、ミシュと一緒にレース場を後にした。


「ふぁぁ……今日はいろいろ大変だったにゃ……」

「私が泊まってる宿屋来る?」

「お願いするにゃ!」

「お任せをー」


私はミシュの案内で街の中にある大きな木製の宿屋に入る。


「ミシュさん!おかえりなさい!あら?」

「あっレイさん!今日はレイさんが当番なんだ!そんなことより……こちらシャーリンさん!しばらくこの宿に泊めてあげてほしくて」

「あら!今日のレースで2位取った人では!?」

「えへへ……あはは……」


私は頭をかく。

実際褒められたことがあまりないので、反応に困る


「テレビで見ましたよ!エリさんを追い抜かしたとき私感動して発狂しました!しかもレコード!初めてのレースなんですよね!?すごいです!」


と私の手を握ってくる。


「あっ……どうもにゃ……」

「ちょっとシャーリンも困ってるしとりあえず手続きだけでも終わらせようよ」


ミシュの言葉にレイは慌てて正気に戻る。


「そうですね!何泊されますか?」


私は特に行く当てもないため……。


「特に決まってないにゃ。行く当てもないしにゃ……」

「もしかしたらシャーリン教育学校に行く可能性もあるのでとりあえず私と同じく1か月くらいで更新って出来る?」


ミシュが代わりに話してくれる。


「はい、大丈夫ですよ。月、金貨2枚です」


(1か月で20,000円……??めちゃくちゃ安いにゃ)


私は、喜んで大きく頷いた。

このような安い宿、むしろ泊まらないと損だろう。


「ありがとうございます!朝は5時から8時、昼は11時から2時まで、夜は17時から20時まで風呂は19時から0時までやっていますので遅れず来てくださいね」

「分かったにゃ!ありがとうにゃ!」


私はその後鍵を受け取ると部屋に向かった。

私は温泉に入ったあと部屋のベットに寝転がり天井を眺める。


「本当に異世界に来ちゃったんだにゃぁ……」


そう私からしたら話せることすらおかしいし、こんなふうに物をはっきり見えることもおかしい……そしてこんなに疲れると感じるのもおかしいのだ。


「なんかないかにゃー」


とテレビをつけた。


「えー次のレースニュースは午後14時に行われたビルガイド初級レースについてです。」


気付いたら私は、テレビに釘付けになっていた。

やはり人間はいない……

この世界は本当に擬人化した動物たちで作られているようだった。


「今回もレースはすべて視聴するのですが特別ゲストに今回のブルガイド初級レースにて3位に入賞したエリさんにお越しいただいております」

「よろしくお願いしますわ」


とエリが頭を下げる。


「なんとエリさんは、前回のルべリオン2級レースの2位入賞、さらにミジアル4級レース1位、という成績を残しております。そのエリさんから見て今回のレースはいかがだったでしょうか?」

「とても楽しかったですわ、3位という結果ではあったものの伝説なレースになったと個人的には思いますわ」

「そうですね。私も見ていたのですが観客の声がすごかった印象があります」

「それでは簡単に振り返っていきましょう」


とレースが切り抜きのように流される。


「特に、一番初めの当日枠の種族が、逃げの作戦を取ったのは驚きましたね」


司会者が言ってるのは私のことだった。


「そうですわね、正直私はその時、焦ってしまったのだと思っていましたわ」

「誰でもそう思う戦法だと思います。では最後の方を振り返りましょう」


と言って画面に映し出されたのは、ちょうど私の後ろから2種族が追い抜いてくるところだった。


「ここで2種族が前に出ましたね」

「そうですわね、もう私は前のロミさんしか気にしてなかったですわ」


司会者がさらに動画を進めていく。


「問題の50mですね。ここでエリさんが抜かし返されてしまいました」

「正直あの時の加速は異次元でしたわ……まるで……1番後ろから差してくるような恐怖感でしたわね……」

「逃げなのに最後に差しですか」

「あの戦い方は恐らくこの人しかできませんわ、逃げからあの加速は見たことありませんでしたし。おそらくずっと1位の状態であの加速をされると手を付けれませんわ」

「となるとやはり初めてのレースで追い抜かしたから、対応できたという感じでしょうか?」

「そうですわね。そこまで離されなかったのも、シャーリンさんがペースを少し乱したおかげですわね。ですが今回はかなり荒れましたわ」

「やはりその中で見事1位を獲得したロミさんはさすがの一言ですね。ロミさんは何か言ってましたか?」

「そうですわね、あと10m長ければ負けていたといっていましたわ。そのくらいの加速だったんですのよ」


司会者の人も驚いた顔をする。


「まぁこれで新たなライバルが1人増えましたわ。次は私が勝って見せますわ」

「それでは最後に皆さんに一言お願いします」

「今回のレースを応援してくれた皆さん感謝いたしますわ。ですが……う……ウラン家の名のもとにこれからも勝ち続けますわ!そして……ロミさん、シャーリンさんまた対戦お願いしますわ!次は勝ちます!」

「ありがとうございました。3人のレースが再び叶うことを祈り今回のニュースはこれでお別れしたいと思います」


私はゆっくりとテレビを消した。


「これは……これから大変になりそうだにゃ……」


私はベットに入ると、やはりいきなりのレースで疲れたのか、そのまま眠ることにしたのだった。

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