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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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65話 ミシュの人形を作るにゃー(2日目~3日目)


 私は今日も、人形を作り続けていた。

ミシュに喜んでもらえるならば、こうして努力をしないといけない……

ただひたむきに私は、そのことを信じて作り続けていた。


「そろそろ寝て、うるさいから」

「も……もうすぐ終わるにゃ……なるべく音を立てないようにするにゃ」

「早く」

「……分かったにゃ」


時々フランのお叱りが来るのだが……私は内緒で作り続けている。

なるべく音を立てない様に精密に、だけど私は決して音を立てているわけではないのだ。

むしろフランのいる部屋とは別の隣の音が聞こえるくらい静かに作業をしている。


「何故バレたのかにゃぁ……いいやだめにゃ……私は作り続けないといけないにゃ……ミシュの為に……」


こうして作り続けて2日目が終わろうとしている。

明日からは学校も休みで、人形つくりに専念できるのだ。


「大丈夫にゃ……ミシュ……ちゃんと喜んでもらえるような人形を作るにゃよ」


私は黙々と作業を始める。

これでダメにした木の板は計100枚で、ミシュの羽……鳥族の羽について私はずっと考えている。


(私は鳥族じゃないにゃ……どうやって羽を作ったらいいにゃ……なんか体が熱いにゃぁ……目もくらくらして……)


そうして私は、意識を失った。

ここまで約34時間、丸1日は起きていたことになる。


「……にゃー!(……リン)にゃにゃー!(カリン!)」


私は聞き覚えがある声に慌てて起こされる。

目の前には三毛猫が私の顔を見ていた。


「にゃ!?(何!?)にゃにゃにゃ??(ここはどこ?)うにゃにゃ!?(私猫に戻ってる!?)」

「にゃにゃ?にゃーんにゃん!にゃん!(何言ってるの?親友を置いてどこに行ってたの?セレム心配したのに!)」


私は何のことだか分らなかった。

正直どこかで頭を打って今までの出来事がすべて夢なのではないか……

そう思ってもいたのだが、ようやくすべてを思い出した。


「にゃ!にゃにゃ!?にゃーん!?(って!セレム!?生きてたの!?)」

「にゃにゃ、にゃ?(むしろカリンこそ、何でこんなところで寝てるのよ?)」

「うにゃ?にゃーんにゃにゃ(あれ?何で私ここに)」


そう、ここは前世の森の中で、目の前には昔、私が助けた三毛猫がいる。

当時は、私もその三毛猫も名前はなく、私が【カリン】三毛猫が【セレム】とお互い名前を決め合った。


((私たちはこれからずっと一緒に暮らそう!))


とお互いに約束した相手でもある。


「にゃにゃ……にゃにゃにゃ(なんか……夢を見てた)」

「にゃにゃ?(夢?)」

「にゃっ、にゃにゃにゃ……にゃ……にゃにゃ!!(そう、セレムと離れる……夢……そんなの絶対嫌!)」

「にゃー、にゃにゃー、にゃにゃん!にゃ……(あははー、バカねー、そんなわけないよ!だって……)」

「「にゃにゃにゃーん!にゃにゃー!!((私たち親友だもんね!ずっとこれからも!!))」」


私は嬉しくなる、だって……前世の夢で2年主人と一緒に暮らして……その後の夢で異世界?で1年の夢、ようやくこうして、目が覚め親友と再会出来たのだから。

私は頬をすりすりしていく……


「にゃ!にゃうー(きゃ!もうー)」

「にゃにゃ……にゃにゃにゃーん(少しはセレムに甘えていいじゃん……いろいろと疲れたもん)」

「にゃーにゃにゃ(そっかーいいよ)」

「にゃーん!(やったー!)」


ということで私はさらに頬を押し付けていく。

久しぶりのセレムの感触、私の目からは涙が零れ落ちていた。

しばらく撫でていると、突然寒気に襲われる……と思ったら目の前が突然黒い霧に覆われていく。

すると目の前に黒い猫、よく見たらセレムが私を見ている。


「にゃ、にゃにゃー?(ねえ、どうしておいていくの?)」

「にゃにゃー!(違うから!セレム!)」

「にゃにゃー!?にゃー?(私ならどうでもいいって!?そういうことでしょ?)」

「にゃ!!にゃにゃ!(違うから!!話を聞いて!)」

「にゃにゃ……しゃー!(このまま一生……呪ってやる!)」

「セレム!嫌にゃー!!」


私は慌てて目を開ける。

そこはベッドの上で、私の頭には氷水が置かれてあり、ちゃんと体は人間のまま……


(全部……夢だったにゃ……?セレム……また会いたいにゃ……ごめんにゃ……前世には心残りなんて……何もなかったはずにゃのに……忘れられないにゃ……)


「入るわよ」


と氷水をもってフランが入ってくる。

周りには木の板がしっかりと綺麗になっていた。

どうやらフランがきれいに掃除してくれていたらしい……


「ごめんにゃ……本当に……」

「迷惑です。しっかり寝て休みなさい、私だって暇じゃありませんから」


どうやら、朝からだいぶ眠っていたらしく、もう午後の6時を過ぎようとしていた。

目の前の机には食事が置かれてある、不安が準備をしてくれたのだろうか……


「……鳥族の羽はこれではありませんよ?」


フランが私の人形を持つとやはり厳しめの評価だった。

正直ここから私はどうしようもできない、まずは熱を直さないとちゃんとした人形は作れない。


「紙ありますか?」

「ここにあるにゃ……」

「あなたの髪の毛ではありませんから、はぁ……書くための紙です、考えなくてもわかるでしょう」

「机の中にゃ」


フランは机の引き出しを開け、ペンを持つとスラスラと何かを書いていく……

絵だろうか……私は横を向いているため、ベットの下は見えないが、腕の動き的には文字でないことは明らかで……


「鳥族の羽はこんな感じです、見ていたら分かるでしょう?」


そこに書かれてあったのは、羽を詳細に書いた絵でものすごく上手だった。

まるで本物の羽と言わんばかりの出来で……


「まったく……早く作ってもらわないとうるさくて眠れませんから、けど、こんな体になるまで作業しないでください。私に迷惑掛かりますから」

「気を付けるにゃ」


これでやっとわかった。

フランは決してうるさいと感じているわけではない、むしろ聞こえていない……つまり。

私の体調を心配していってくれたのだということを。


「……なんですか?あまり見ないでください」

「ううん!何でもないにゃ!」


私は首を横に振るとフランは何も言わずに出ていった。

どうやら作業自体を止めるということはしないようで……


「あはは……思いっきり泣いちゃったにゃ……そうだにゃ……無理したらダメにゃよね……よし!今日は寝るにゃ!」

「だから静かにしなさいって言ったでしょう!」

「ごめんにゃー!!」


結局その日はそのまま眠ることに決めたのだった。

フランの絵もあるため、明日頑張るにゃ!と私は心に決めるのだった。

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