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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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5話 レース開始にゃー


 『始まりました、ブルガイド初級レース、今回は過去最多の観客人数を迎え開催いたします。実況及び進行役は私、キリン族、キリン類のニリです!』


『解説私、ネズミ族、ネズミ類のセイラです。今回は先日ルべリオン2級レースを制したロミ・リザイア、そして同じくミジアル4級レース1位そしてルべリオン2級レース2位のエリ・ウランがいますからね。周りからは再びのライバル対決という感じでしょう』


ミシュはテレビで実況と解説の映像を黙って見ていた。

正直シャーリンの初めてのレース。

ここでよかったのか、とつくづく不安になる。


「シャーリン頑張ってね」


ミシュは両手で祈っている。

ミシュはもう助言ができないため、あとはもうシャーリンに任せるしかなかった


『……さてこれで予約枠はすべて紹介いたしましたが今回当日枠から初出場のシャーリンさんが出場されています』

『久しぶりの当日枠ですか!そして初出場となると相手からは全く分からないということになりますのでこのレースに期待を寄せたいところではありますね。またシャーリンさんもこのレースどどのような戦略を取るかも見ものです』


とレースの画面に移り変わった。



私はとりあえず伸びをしながら気持ちを落ち着かせていた。


(とりあえず……後ろで様子見してから行く方がいいかにゃ……でも追いつけなくなる可能性もあるにゃ……だとすると一旦先に一番前を走ってから……これがいいかにゃ……周りの速度は分かんないけど……私だって猫の中で最強を目指し野良で山を往復ダッシュしていたにゃ……努力は同じにゃ!)


私は作戦を頭の中で考え大きく頷き準備をする。

いつもこうで、結構前で、作戦を思いつくタイプなのだ。

まぁ……大体は失敗に終わるのだけれど……


『それではブルガイド初級レースまもなく開始します!カウントダウンが読まれますためスタートの合図でスタートしてください』


と10秒前からカウントダウンが始まった。

正直ものすごく緊張している。

心臓の鼓動が抑えられない。


『5、4、3、2、1、スタート!』


私は思いっきり地面を蹴り先頭を走っていく。


(なるほどコースは基本何処走ってもいいと……みんなは様子見している感じかにゃ……なら今のうちに……)


私はどんどんスピードを上げていく。

私が考えた戦略……それは【大逃げ】であった。


ミシュはカウントダウン中、ずっとシャーリンの様子を見ていた。


「3、2、1,スタート!」


と同時に全員が一斉にスタートする。


「先頭はいつもなら……え?」


ミシュは目を丸くした。なぜなら先頭は1番逃げ戦法をしないであろうと思っていたシャーリンだったからだ。

しかもただの逃げの速度ではない、あれはこの国でも数種族しかいない戦術……【大逃げ】


「シャーリン……そんなペース最後まで持たないよ」


ミシュは目を丸くしつつも、画面を覗き込んでいた。


『一斉に走り始めました!そして先頭はなんと!今日当日枠のシャーリン!ものすごい速度で2位との差を離していきます!かなりの大逃げです!』



ニリもびっくりした声を出す。

【大逃げ】というのは一気に後続を突き放し、走るために、パワー・スタミナ・スピードが重要視されている戦術である。


『シャーリンさんのスタミナは大丈夫でしょうか?少し飛ばし過ぎな気がします。初めてのレースに緊張してしまったのでしょうか。ここで落ち着いてほしいところです。初めてのレースに逃げ戦法は今回が初めてではないでしょうか』


実況と解説もどうやらこの作戦に驚いているようだった。

驚いていたのはほかにもなく。


「これは驚きました……今のままの速度だと追いつけませんね」

「なんですの!?あの逃げは……【大逃げ】……?にしても速すぎですわ!」


2番手を走っているロミと、3番手を走っているエリだった。


(でもあの速度を恐らくずっと維持は出来ない……ここで焦ってしまえばペースを乱されて負けてしまいます。落ち着いて差しに行きましょう)

(落ち着くのですわ!初心者が間違えた可能性がありますものね……)


2人は息を整えるとシャーリンの後をじっくりと追っていく。

ここでの2人は、さすがに慣れているだけあって、駆け引きがうまい。


「はぁ……はぁ……2位との差がどんどん縮まってるにゃ……でも私は負けないにゃ!」



ゴムのトラックを走るこの感触……今まで猫として走っていた感覚とはまるで別……風を切る音、後ろからの走ってくる音……私はまるで空の上を駆けているような感覚だった。


「とても気持ちいいにゃ……レースってこんな感覚なのにゃ……」


その時、私の背中がゾクリと震える感覚がある……

ロミがもう真後ろまで近づいていたのだ。


(なんにゃ……この食われるような……威圧感は)


「はあぁ!」



と私の横をロミとエリが猛烈な速度で追い抜いていく。残り100mを切っていた。


(なんで……追いつけないにゃ!と言うかどんどん私のスピードが落ちてるにゃ!?)


「どうやらスタミナ不足ですわね」


エリが私の方を向いて呟く……

スタミナの割に、そんなに息は切れていないようにも思う。

しかし……


(スタミナ不足……はぁ……はぁ……動いてにゃ!私の足!)


必死に足を叩くも、これ以上は動く気配はなかった……


(もう……ダメにゃ……)


と思ったその時、私は不意にミシュとの会話を思い出した。


「私はお姉様の代わりに5連勝する。これが私の目標であり夢なんだよね」


(ミシュさんがちゃんと目標と夢を持っているにゃ……だったらここで諦める訳には行かないにゃ!私も1級レースに勝てるように……なりたいにゃ!)


私は前の2人を見て一息深呼吸をすると……。


(足はまだ……限界を超えたら……動きそうにゃ……スタミナなんでどうでもいいにゃ!足を壊したって……私は……ここで勝つにゃ!私の限界を……ここで超えるにゃ!!!私は猫にゃ!)


「すぅ……ここからにゃぁぁ!!」


私はさらに大きく踏み込むとそのまま2人に向かって走っていく……

私の足が今どのようなことになっているのかは分からない。

だけど1つ言えるのは……

2人との距離が縮まってきているということだ。


「なっ!?」

「へぇ……」


2人も私の気配に気付いたようでチラッと私の方を見る。


(せめて……1人でも!!抜かすにゃ!)


そう意気込みさらに足を動かしていく……そうしてついに

残り50mの所でついにエリを追い抜かした。


「なんですって……!!私は……負けるわけにはいかないのよ!」


と追いかけてくるも私は前を気にしていたため気づかなかった。

いや……私は前しか狙っていなかったため後ろを気にすることが出来なかったのだ


「これはまずい……!」


ロミも必死に逃げているが、私との距離がどんどん縮まっているようにも見える。


「うにゃぁぁ!!!」

「絶対に抜かせません!!1位は私です!!」


そうして私とロミがもう横並びになろうとしたその時、ロミがいち早くゴールを切り、私は2位となった。


「や……やったにゃあ!!2位にゃ!」


私は地面に倒れると上を向いた。しばらくの沈黙の後周りから大歓声が起こる。


(もう足が限界にゃ……立てないにゃ)


「おめでとうございますわ。良い走りでしたわよ、ですが……次こそは負けませんわ!あなたも私のライバルですわ!!」


私にそういってきたのは泣き目をしているエリだ。私は周りを見ると負けて泣いている人たちを見る。


(そうだにゃ……負けってそういうことなのにゃ……)


私は俯くことしかできなかった、1位取れなかった悔しさと2位だった嬉しさが混乱していたのだ。



「初めはそういうものです。2位おめでとうございます。それとあの発言は謝罪しますね。また次回1級レースで会いましょう、もしスラチオ高等教育訓練学校に入学するなら一緒にトレーニングすることにはなりますが」

「あなたはその学校に行くにゃ?」

「私も行きますわ」


と後ろからエリが入ってきた。そのせいで私達3人は真ん中で向かい合う形になった。


「それでは1位のロミさん、2位のシャーリンさん、3位のエリさんは表彰祭ワインドパレードの準備をお願いします」


とアナウンスが入る。


「それでは行きましょうか」

「ええ、参りましょう」

「?どこににゃ?」


私だけ分からず2人はため息をつく。


「本当に初めてなのですわね……わたくしたちについてきてください」


エリの言葉に私は静かに歩いて行った。


いちおう表彰祭は1位から3位までの人を車の上に乗せ中を周り歌ったり踊りながら手を振ったりしたりするイベントということはミシュから事前に聞いてはいたが実際私が乗るとは思わなかった。


「意外と高いにゃ……」


私は上を向く。


「一番上にはちゃんと手すりがありますので安心してください。ここの中に丸い円がありますのでそこにお立ち下さい。時間が来たら上に上がりますので」


と係員の人に言われドアから中に入る。


「真っ暗にゃ……」


と地面が浮き上がる。


「にゃにゃ!?びっくりしたにゃ」


とそのまま上のドアが開き私たちは車の上に立った。

その瞬間、音楽がかかる。

しかし1つ問題がある、それは……


「私曲知らないにゃ!」


そんなことを考えているとロミとエリが歌い始める。その途端凄い歓声が上がる。


「さすがだにゃ……てかこれって……主が昔みていたライブにそっくりにゃ……となると」


私は記憶を頼りに音楽にのせて手を振った。

ちょくちょく、「あ~あ~」とハモリを入れて。

そうして楽しいライブは終わりを迎えた。終わる時は同じように地面が下がる仕組みらしく私は一瞬後ろに倒れるかと思った。せめて言ってから下げてほしかったけど……

そのまま私はミシュのもとへ向かっていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。 猫ちゃんのお話なので、読んじゃいました。 頑張って下さい
[良い点] レースの緊張感ある雰囲気をよく表現されていたと感じます。キャラクターの心情の移り変わりがわかりやすく、とても感情移入できました! 最後までシャーリンがどんなことを考えているかわからない、読…
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