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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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56話 空中2連王にゃー


 私たちはスライの部屋でテレビを囲んでいる……その理由は。

 

 『さあ、今日も始まりました!鳥一級レースその名も【カバウム】今回のレースでは勝てば2連王のミシュがいますね!おなじみ実況と進行役のニリです!』

『解説のセイラです!今回はそうですね、前回の【ブラウター】では凄かったですからね……今回も期待したいところです』

『今回の【カバウム】では距離が1200mと短距離ですからね!どうなるのでしょうか!』


そうミシュにとって大事な鳥一級レース【カバウム】の日なのだ。

スライに聞いたところによると体の調子は絶好調のようで、何も心配は無いようだった。


「今回は1200Mの短距離ですわ~ハチドリ族は短距離はとても得意なので……心配はいらないと思いますわ~」

「だと良いですが……」

「信じてあげてくださいませ!」

「まぁそうだにゃ」


私たちは再びテレビを見る。

もしこれでミシュが勝ち、2年連続で2連王になった時は、伝説の世代以来の3年ぶりになるそうで……



一方その頃ミシュは控室で精神統一をしていた。

今日はミシュにとっては大事な2連王の日……いつもよりも集中していた。


(姉に近づくのももう少し……羽もちゃんと動くし……大丈夫!だって私は……短距離得意だから!)


コンコン……


「ミシュ様!そろそろ広場にお願いします!」

「分かりました!」


ということで、ミシュは広場に向けて廊下を歩いていく。

レースでは広場で先に選手の見せ合いがあるのだ。

ここで緊張をしているか、気合が入っているのかが分かる。


『さぁ!次は、あのミシュリーの妹のミシュです!』


「よし!」


ミシュはアナウンスにより、広場に向かって歩いて行った。




【注)ここから本格的にミシュ視点に入ります。】


私は広場で頭を下げるとそのまま戻り、スタート前まで歩いていく。


「ふう……よし!イメージはできた」

「ミシュちゃん!こんにちは!今日はよろしくね!」


後ろから女の子が手を振って走ってくる。

この人は私の知り合いの先輩で、とんび類のデイリさんという。


「私も【カバウム】2連覇がかかってるからね!ミシュちゃんには負けられないよ!」

「私もせっかく2連王ですから……先輩とはいえ負けませんよ!」

「あっ!盛り上がってるの!今日は私も一緒なの!よろしくなの!」

「セイリンさん!?」


私はまさかセイリンまで出るとは思っておらず目を丸くする。

セイリンは精霊族であり……風を操ることが出来るという生まれつきの能力がある。

邪魔は出来ないが自分を加速させることは出来る、そこは合法なのだ。


『それでは選手の皆さん!スタート位置に登場してください!』


「行きましょうか!ミシュちゃん!セイリンちゃん」

「絶対負けないの!」

「私も負けません!」


ということで私たちは一緒に並んで歩いて行った。

正直私は負ける気はなく、結構自信はある。


私の枠順は10枠中5枠目……正直直線なので枠順は関係ないのだが、まぁ……直線の場合は端が一番有利ではあるのだ。

理由は周りが真ん中に集まってくるため端にいる方が邪魔はされない、という利点がある。


「よし……行こうか!」


私は枠のスタートラインに立ちスタートの合図を待つ。


『それではまいります!5、4、3、2、1!スタート!』


私は羽を震わせそのまま飛んでいく……私の作戦は先行で、中間から一気に抜け出す作戦をとっていた。

デイリ先輩は逃げで私の後ろにはセイリンがいる……。


(1200Mは基本的に……最後のスパートで決まる……お姉様はどのように勝ったのだろう……)


私は羽をなびかせながら前を向いている……しかしゴールがもう見え始めてきていた……


(絶対勝たないと……絶対に……負けられない!お姉様を超えるために……絶対に……勝つ!!)


「悪いけど抜かさせてもらうの!!」


と後ろから猛スピードでセイリンが追い抜いていく……

セイリンの後ろに緑色のエフェクトが出ていることから、風を操っているのは明白だった。


「私も……負けない!!」


キュイイイイン!

と私は羽を震わせてどんどん加速していく……ゴールまでおよそ100M……現在3位だ。


(く……2人に追いつけない……やだ……お姉様……私は3連王になるんだ……)


「負けるもんかあああ!!!」


私は羽をさらに震わせてどんどん加速していく……


「??」


若干羽に違和感が生じるも気にせず飛ばしていく……残り50M……2人にどんどん近づいていく……


「まだまだあ!!!」


私は全部の力を羽にこめさらに加速をしていく……そうして……


「負けないの!!」

「ミシュちゃんとセイリンちゃんには負けませんから!」

「絶対に!負けない!!私は勝つんだ!!」

「「「はああああ!!」」」


私たち横並びで飛んでいく……このままだと私は負けてしまう……


ミシ……


「??なんだろう」


とまた羽に一瞬違和感が走るも、急に羽が楽になったため、さらに動かす。


(羽が楽になった!今がチャンス!!)


私はさらに羽を動かし2人の前に出る。

2人は私がさらに速度を上げたのに驚いたらしく……

しかしもうゴールが近づいてきており、結局私が先頭のままゴールを飛び抜けたのだった。


「やったああ!!」

「おめでとうございます!2連覇できませんでしたが……ミシュちゃん2連王おめでとうございます!」

「おめでとうなの!あともう少しだったの……」


廊下で私たち3人はまた話し合っていた。

周りからも祝福の言葉が私にかけられる。

どうやら、レースに出た人たちは、私に対して批判を出す人はいないらしい。


「次は負けないの!絶対3連王阻止するの!」

「そっかぁ次2人は【ヒューリンガースカイ】なんだね!私からしたら……どっちにも勝ってほしいのが本音かな……まぁ見に行きますから!」

「ありがとうございます!先輩!」

「ありがとうなの!」


私はその後、報酬を受け取った後、2人に頭を下げるとそのまま羽を広げ学園まで飛んで戻っていった。

2連王の称号も貰えたので、報酬はその分上がることになっている。


「それにしても、さっきの違和感はなんだったんだろうね……急に楽になったし……まぁいっか!」


私は結局、その違和感の答えにはたどり着くことはなく、嬉しさをかみしめながら飛んでくのだった。


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