表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
73/147

外伝4話 【神髄のカーテン】にゃー


 私たちは作詞の間、あることについて、ミシュとスライの部屋で話をしていた。その内容とは……


「赤い月にゃ?」

「そうなの!私は今まで見たことないんだけど……ほら上に青い月が夜になったら見えるでしょ?あの月が突然赤くなるの!」

「聞いたことありますわ!確か【神髄(しんずい)のカーテン】と呼ばれていますわね!」

「そういえば私も見たことないですね……」

「私もないですわ~」


(もしかして前世で言う月食の事だろうか……確かにこの世界にも月はあるけど……)


まだ月食かどうかは判断できないため、私はもう少し深堀をして聞いてみることにする。

正直【神髄のカーテン】というのが全く分からないためだ。


「その【神髄のカーテン】ってなんにゃ?」

「まさか知らないの!?……とはいえ私も詳しくは知らないんだけど、言い伝えによると神様が月の前を通るときに、ばれない様に隠すためのカーテンだといわれてるよ!」


ミシュが私に詳しく説明をしてくれる。

つまりは、神様が何年かに一度だけ月の前を循環するといわれており、その時に姿が光により見えてしまうため、光を遮断させる結界を張るという言い伝えのようだった。


「そうですわ~だから貴重なんですわ~見れたら神のカーテンを生で見れるのですから~」

「言い伝えによると今日の夜ですわよ!あと30分もないですわ!」

「そうなんですか!?エリ!もっと早く言いなさい!」

「喧嘩より早く準備しないと!」


エリの言葉に私たちは慌てて顔を上げる。

そう作曲をしている場合などではなく、その【神髄のカーテン】を見るための準備をしなくてはいけない。

ということで私たちは全員で外に飛び出す。


「みんな見ていますわね」

「それはそうよ、ロミ【神髄のカーテン】は滅多に見られる物じゃないんだからね?」


ミシュとロミが空を見上げている。

今日は快晴で青色の輝きを放つ月も元気に私たちの目に映っており……


(前世のままならば、ここで横からどんどん暗くなってくるはずにゃ……)


私の予想通り、青色に輝いていた月の端から少しずつだが赤色に染まっていく……

それと同時に皆が両手を胸の前に合わせ拝んでいる。


そう今……あの赤色の影に神様が横断しているのだ。

正直ものすごく幻想的で、前世の月では、そこまでの光を放っていなかったから見えにくかったのだが、この世界の月は、太陽まではいかずともかなりの明るさを持っていたため、良く見える……

さらに横から花のように広がる青い光がとても綺麗だった。


「キレイだねシャーリン……私見れてよかった」


横を見るとミシュが泣きながら空を見上げている。

どうやら【神髄のカーテン】には懐かしい記憶を思い出させる効果があるらしい……


私も前世の野良猫時代を思い出す……あの時出会った……一匹の猫の事を。


「おかしいにゃぁ……前世にはもう悔いがないと思ったのににゃぁ……何でだろうにゃぁ」


私の目からも涙が零れ落ちてくる。

そうこれが【神髄のカーテン】だった……神様はすべて見ている。

本当にあのカーテンの後ろに神様がいるんだと実感する。


しばらく見上げていると、また端から青白い光が見える。

どうやら通り過ぎていくようで……

この時も、ものすごくきれいな光をあたりにまき散らし、海の水面には青白い光が反射している様子が映りだしている。

赤くなっていく時とは違い……こちらもものすごく幻想的だった。


(おそらくは皆既月食にゃ……でもこの世界だと……前世とは違うにゃ……同じでも……気持ちが違うにゃ)


私は再び目を閉じ……終わるまで黙祷もくとうを続けるのだった。


【神髄のカーテン】が終わり私たちは再び寮に戻っていく……


「凄かったにゃ!」

「うん!凄かったね!元気出たよ私!」

「私もですわよ!色々思い出しましたけど!気にしないですわ!」

「またいつでも見たいですね」

「必ずもう1回見れますわ~信じるのですわ~」


私たちはしばらく感慨にふけっていると大事なことを思い出す。


「そういえばまだ作詞終わってないにゃ!」

「そうだね!今回の歌詞に取り入れてみる?」

「ダメですわよ!そんなことをしたら……神様への冒涜ぼうとくになりますわ!」

「意見が合うのは不本意ですが、わたしもエリさんに賛成です」

「歌詞は私たちで作りましょう~きっといい歌詞になりますわ~」

「そうだにゃ!【神髄のカーテン】に励まさせてもらったにゃ!あのままだと歌詞どころか……何もかもが決まらなかった可能性が高かったにゃ!いい気分晴らしになったにゃ」


正直作詞をしているときの空気感は最悪と言ってもいいもので……

私も少し疲れてきていたところなのだ。

今回は神様から、私たちへの休みをくれた日……そうだと私は信じることにする。


「そうだね!私たちは私たちらしい歌詞を作りましょう!」

「賛成にゃ!」

「賛成ですわ!」

「私も賛成!」

「賛成ですわ~」


ということで私たちは、就寝までの残り時間を作詞に使うことに決め、作業に戻ることにする……

ちなみにこの出来事の後、就寝時間ぎりぎりで無事完成したのが【FellowAlways】の歌詞だった。

皆さんは【神髄のカーテン】(皆既月食)を無事見ることが出来ましたか?

僕はちなみに見れませんでした……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ