55話 1次予選の中間報告にゃー
「とりあえず衣装制作はなんとかなったにゃ、じゃあ後何が必要かにゃ……」
私たちは衣服店に行った次の日、再びミシュとスライの部屋に集まっていた。
今回は一応お菓子を食べながら、ゆっくりと雑談という流れになっていたのだが……
「そういえば1次予選のランキングどうなったにゃ?」
「1位は【爆速ランナーズ】2位は【フラン・ポーリン】で決まりですね」
「そうですね、珍しく意見が合いますこと」
「じゃあ早く見せて!スライ!」
「スライどうしたにゃ?」
何やらスライがランキングを見て固まっていた。
そこまで私たちのランキングが低いのだろうか……一応50位までは2次予選に進めるのだが……
「それが……フランさんは現在……3位ですわ~!」
「ええ!?あのフランさんを超えるグループがあるの!?」
ミシュの言葉に私たちは慌ててパソコンを覗き込む。
上から順に1位【爆速ランナーズ】2位【シマXシマ】3位【フラン・ポーリン】と書いてある。
「シマXシマって誰にゃ?」
「見てみましょう」
ロミは【シマXシマ】のMV動画を開く。
するとその画面にはあたり一面のお花畑が映し出されると、とてもかわいい音楽が流れる。
「凄く可愛いにゃ……」
「【シマXシマ】……思い出しましたわ~!」
私たちは上を見上げたスライの方を見る。
どうやらこの反応を見るにかなりの実力があることは間違いないだろう。
「【シマXシマ】は2人のアイドルグループですわ~、前回の1級パフォーマンス部アイドル枠で20連勝している実力者ですわ~」
「にじゅ!!?すごい人達にゃ!!」
「じゃあ少し見てみましょうか!」
ということで私たちは【シマXシマ】の自己紹介動画を見ることにした。
『みんなー!こんにちは!私たち【シマXシマ】です!鳥族シマエナガ類のシマリンと』
『妹のシマルンです!今回は私たちの軽い自己紹介をするね!まず!シマルンと私でアイドルになった理由だけど……私たちは完ぺきなアイドルになりたい!その思いで私たちはアイドルになりなした』
『シマルンの言う通り!だから私たちけっぱるから応援していてくださいね!げっぱは勘弁です!』
「なるほど……だからアイドルに……」
ミシュが結構納得している表情を見せる。
何やら手が震えている……昔に何かあったのだろうか。
「【シマXシマ】はかなり手ごわい相手ですわ~シマエナガ族は昔から2つ名があるのですわ~」
「2つ名ってなんにゃ?」
「それは、【雪の妖精】ですわ~あまりにも可愛くそう思われているのですわ~正直私たちでは勝つのは難しいですわ~」
「私も聞いたことあるって思いましたわよ!このアイドルグループは世界に有名ですわ!」
「爆速ランナーズを抜くのも……時間の問題ですね……」
「私たちの順位は……うぐぬ……49位にゃ……」
「まぁ……落ちないことを願うしかないですわ~」
私たちはなんとしても落ちないことを願うしかなかった。
何故49位に入っているのかというと、恐らくなのだが、ミシュもロミもエリもスライも名のしれている者が入っているから。
というのが大きいだろう。
「待つだけではダメにゃよ!残り1週間……レースに出て知名度を上げるにゃ!」
「そういえば明日私のレースだった……」
「にゃにゃ!?そういえばそうにゃよ!明日で2連王にゃ!」
「まだ分かりませんわ~勝てば2連王ですわ~」
そう明日はミシュの大事なレース……
鳥1級レース【カバウム】が待っているのだ。
何日にレースがあるかどうかは、ミシュから聞かされていなかった為、私たちは慌てて準備をする。
「もっと早く言ってくれませんこと!?」
「そんなに慌てなくてもいいよ!私絶対勝つから」
「心配ですよ……本当に、前までは、羽に違和感があるような感じだったじゃないですか……」
ロミの言葉にミシュは目を丸くしている。
どうやらミシュ本人は隠していたらしいのだが明らかに行動で、羽に何かしらの異常があったということは、私も気が付いていたのだ。
「どうして気付いたの??」
「まあ急に飛ばなくなったら不思議に思いますわよ。ロミが気づくなら、私たち全員気づいていると思いますわ。もちろん私も気付いていましたわよ」
「まあ~無事治ったようですし~今日はゆっくり休むのが良いと思いますわ~」
「そうかな……」
「絶対休むべきにゃよ!」
私たちはなんとかミシュを説得して今日は休ませることにする。
ということでうるさくなるのもダメだと思い……私たちは、スラチオ学園の中にある公園でブランコに揺られていた。
「ほんとに大丈夫だと思いますか?ミシュさんの羽」
急にロミが私たちの方を向く。
正直私も不安ではある、治ったとはいえ前までは飛べないほどの激痛だったはず……急に治るなんて考えはしなかったのだ。
「でも私たちが病院に行けって言っても聞きませんわ~、ミシュは昔から病院嫌いって聞きましたわ~」
「……無事にゴールできることを信じるしかないにゃ」
「そうですわよ!せっかく2連王リーチなのですわ!私たちが信じなくて誰が信じるのです!応援しますわよ!私たちで!」
「珍しくいいこと言うじゃありませんか、エリ」
「珍しくって何ですのよ!」
そういって、私たちも明日に備えて準備をするのだった。




