44話 1曲目のMV作りにゃー
私たちは1曲目のMVを撮影すべく、ビデオカメラ、楽器を持って校門前に集まる。
正直、楽器は持って行かなくてもいい、と提案をしたのだが、MVにはやっぱり楽器が欲しい!
という皆の意見があり楽器を持って行くことにした。
「それではまずは……5大【癒しの滝】に行きますわよ!」
「5個あるってことにゃ?」
「そういうことだね」
「では行きますわ~」
「ちょっとお待ちなさい、みんなで行きますよ!」
スライが飛び立とうとしてロミに止められる、結局いつも通りスライとミシュは飛んで……
「あれ?ミシュは飛ばないにゃ?」
「えっと……私は昨日レース行ったから……羽を休ませたいなって……またレースあるし」
そういえばよく見たら……羽をゆっくり動かしている
私は鳥族の羽の休ませ方を知らないので、納得した。
「そういうことならばミシュさん一緒に行きますわよ」
「じゃあ私も歩いていくにゃ!」
「一緒に行きましょう」
「鳥族は……歩く方が体力使うのでは~?」
とりあえずミシュは意地でも飛ばないということで、結局私たちは歩いて移動することにした。
(よほどあのレースが疲れたのにゃぁ……ミシュ……お疲れ様にゃ)
「ところで滝でどんなふうに撮るかは決めているの隊長さん?」
「そうだにゃぁ……イントロの部分を先に終わらせたいにゃ」
「あの部分ですか……どんな風にするのかは決めているのですか?」
「それは着いてからのお楽しみにゃ!」
ということで私たちはひたすら歩き続ける、結構距離があるためかなり時間がかかる……鳥族、蝶族ならばそこまで時間はかからないのだろうが……
しばらく歩いていると目的地の滝に着く……
「これが5大滝にゃ!?すごいにゃ!まるで中に集まるように5個滝になってるにゃ!」
「そうですわ~この滝は1つじゃなくて、円形に5つの川が交わり5つの滝が見えるのですわ~!」
「そうにゃ!だったらここで……イントロとサビを全部終わらせようにゃ!イントロは……まず全員でカメラに近づいて……最後私のにゃー!の時に私が後ろから突っ込むにゃ!だからカメラからすぐに離れてほしいにゃ」
「分かりましたわ」
ということで、私たちは三脚にビデオカメラをセットする……ここまでは前世の知識があるため、なんとか使い方は分かっている。
「じゃあ音楽に合わせて!いくにゃよ~3、2、1!」
「「「「私たちで癒します!」」」」
「にゃー!」
「カットにゃ!」
私はすぐさま確認をする……私が出てくるタイミングと、エリが避けるタイミングが同じだったため、見事にかぶっていた。
「ごめんなさいですわ……」
「謝ることにゃんてないにゃ!どんどん撮るにゃよ!」
しばらく挑戦していると55回ほどでようやく……成功した。
わたしともインなのタイミングが合い、うまい事癒し猫のポーズで登場することが出来た。
「次はサビにゃよ~サビは……この滝をバックに楽器演奏で行くにゃ!注意点は……滝の音で音楽が聞こえにくい状況にゃ、それでも合わせることが大事にゃ!今まで楽器の練習はしてきたにゃ!行けるにゃよ!」
ということで私たちは楽器を準備する。
私も外で楽器を演奏するのは初めてだったため、少し緊張していた。
「行くにゃよ!3、2、1、」
私の言葉に演奏が始まる……無論客人はいない、理由は今閉園中で、私たちは特別に中へ入らせていただいているのだ。
中でMV撮影を許可されたので最悪なMVを撮るわけにはいかなかった。
この演奏も、みんなが納得するまで演奏したため、結局夕方まで続いてしまった。
「はぁ……はぁ……いいにゃ!!これでいいにゃよ!」
「やりましたわ!!疲れましたわよ……」
「ええ……ですがとても楽しかったです!」
「私も楽しかった!」
「私もですわ~そうだ~ミシュさん!私と一緒にこの滝つぼを並行で飛びませんか~?」
スライがミシュの顔を見る。
ミシュは絶望に落とされた顔になり、激しく首を横に振った。
「どうしたのにゃ??」
「軽く飛ぶだけですわ~」
「……ならいいけど……」
ということで……MVの関係で滝つぼを飛ぶより、今いる石の上を飛んで2人と、一緒に撮影をするのことになり……私はさらに下がる。
「それにゃあ!!飛んできてにゃ!」
私は手を挙げそのまま振り降ろす、ここの仕様は前世と変わってないのかスタートだと思い2人は飛び出し並行する……のだが
「ミシュ!スライさんの方に寄りすぎにゃ!」
「ごめん!」
「また寄ってるにゃ!」
そう何回、一緒に飛んでも毎回ミシュが右側の方に寄っていくのだ。
普段ならそんなことはないはずだが……やはりレースの疲れが出ているのだろうか
「今日はもう終わりましょうか、これ以上、ミシュさんを疲れさせるわけにはいきませんし……レースの直後に、この撮影はものすごく……疲れますからね」
「そうだにゃ!ミシュ!とりあえず、明日からまたゆっくりと撮っていくにゃ!だから今日はこれで休むにゃ!明日は……撮影量には……昼からで大丈夫にゃ」
「そうだね……ありがとう」
「そうしますわ~ミシュさんも、ゆっくり休んでほしいですわ~」
ということで私たちは今日ここで撮影をやめ、寮に帰っていく、
今日で出来上がったのは、イントロ部分とサビの部分全て、なかなかいいスタートの仕方だった。
私は明日で完成するだろうと意気込み、そのまま眠るのだった。
ただ1つだけ……不安……というか気になることがあるのは……まだ心の内に秘めておくことにした。
私の勘違いかもしれないからだ。
そんなことを考えていると……ゆっくりと瞼が降りてきて……そのまま視界が真っ暗になった。




