32話 バンド結成にゃー
「終わったにゃあああ!!」
私はプリントをまとめると机にひれ伏す、結局このプリントを終わらせるのに1週間かかってしまったのだ。本当はもう少し早めに終わる予定だったのだが……
「こらシャーリンまだですわよ」
エリは私にパソコンを見せる、MVが出されている場所だった、そこにはもう10本ほど動画が出されていた。しかし問題はそこからで……投票の画面には……
「MAIRON……50億3000票……で堂々と1位ですわ~」
「爆速ランナーズも40億1000票で2位にゃ……」
「それだけじゃないですよ、見てください……50位の時点で1億票を超えています。今からでもオリジナル曲を作らないときついと思います」
「とはいえ……どうしよう……」
私たち全員そもそも音楽を作ったことはなく、楽器すら弾けないという状況だった。ということでお手上げ状態だったのだ。
「お手上げにゃああ!!」
「早いですわよ!!」
「でもどうしますか~?」
私はしばらく考える……音楽を作るのに必要なのはまず……作詞作曲、メンバーの割り振り、打ち込み用の楽器などなど……揃えるものはたくさんあった。
「さぁ作曲しますわよ!!」
「「おー!!」」
ということで、私たちはようやく作曲作業に取り掛かれるのだった……のだが結局何もしないまま2時間たってしまった。
「何も出てきませんわ~!!」
エリがしびれを切らして部屋で思いっきり叫ぶ……どうやら皆も同じように何も思い浮かばないらしい……私もあともう一押し何かがあれば思いつきそうなのだが……
「歌うジャンルを決めるのはどうです??」
「私たちのジャンルと言えば……激しい系ですわね!」
「いやいや……クール系でしょ……」
「まったり系がいいと思ますわ~」
「見事全員バラバラにゃ……」
「それならシャーリンは何か提案はあるの?」
私はミシュに聞かれ慌てて考える……
(私に合う曲……にゃんだろう……やってみたいのがあるけど……ダンスって感じじゃにゃいしにゃぁ……)
「1つやってみたいのがあるにゃ……でもダンスって感じにはならないかもにゃ……」
「何々??」
「えっと……感動系にゃ」
私はミシュに言われしぶしぶ答える、正直ダンスには合わないから反対されると思ったので、私の中ではこの案は拒否している。
「感動……ということはバラード系ですか……確かにシャーリンさんの声には合ってるかもですね、あの高い高音が出せる方は滅多にいませんし……」
「じゃあこういうのはどうかにゃ?クールバラード系って言ったらいいかにゃ?」
「なるほどですわ~かっこよくて感動するのですわ~いいと思いますわ~」
「じゃあジャンルはバラード系で……あとは作詞作曲を誰か決めませんと」
「私はピアノだよ」
ロミの言葉に渡曽たちは下を向く……全員初心者のために、何をすればいいのか全く分かっていないのだ。
「私はとりあえず歌詞を書くことにするにゃ」
「となると私たちは作曲ですわね……」
「そういえばスライさんって、昔ベースをしていたのではなくて?」
「そういうエリさんもギター練習していましたわ~」
「練習だけならしていましたわよ?私はピアノですわ……ロミさんは?」
「私は……う~ん??なんでしょうか……ずっと昔だけどドラムしてました」
「一応打ち込みまでならできそうですわね、ミシュさんは確か……」
「バンドも出来るかもしれないにゃ……」
「うーん……それならダンスがなぁ……」
「ダンスじゃないとダメにゃ?」
「別にそういう決まりはないけど……」
ということで結局私たちはバンドをすることにしたのだった……あれだけのダンス練習が勿体ない……とも考えたのだが、ライブというのはダンスだけではなく……どうやらパフォーマンスということで何でもありということなのだ。
つまり逆に言うと……ダンスでは楽器がいらないのにもかかわらず、わざわざ楽器を買ってまでバンドをするということ……
「とりあえず……明日買いに行きますか?休みでしょう?」
「もはやレースからかけ離れている気がするにゃ……」
「トレーニングはちゃんと毎日してるのにね~」
「でも……このメンバーでバンドは楽しみにゃ!!」
ただ私は1つ疑問を抱いていた……それは……もしもミシュがピアノ、エリがギター、スライがベース、ロミがドラム……とするならばこの楽器のお金は一体どこからおちるのか……そして私は歌うだけになるのか……ということだった。
「どうなるにゃ?」
「お金は……恐らく自払い……にはなると思いますが……私たちは一応昔からレースに勝ち続けているためお金はあります。あとは……そうですね……シャーリンさんの場合は、シャーリンさんがしたいと思った、楽器を買えばいいと思います。別に楽器は強制じゃありませんからね、歌うだけでも行けると思います」
「にゃるほど……じゃあ私マイク全員分買うにゃ!」
私は基本歌しかできないのでマイクを買うことにするのだった。




