28話 いよいよ内容発表にゃー
「ということでこれから大会の内容を再び少し変更したいと思いますにゃ~」
「変更??何々??」
クラスの皆が私たちの顔を見る……私たちは昨日の夜に決めた第一次予選と第二次予選によって20組まで減らすという案を提案する。
「MVですか??」
「そうにゃ!それでMV勝負ということで……街の皆さんの投票制にすればいいと考えているにゃ!」
皆なぜか反応が薄い……そんなにダメなのかな……と私は軽く肩を落とす。
「別にいいっしょ!あたしめちゃ好きだけど?」
「私も好き~」
「でも……2回も同じはダメだと思います、何か捻りませんか?MVも作るのにかなり時間かかりますし」
私はそれではっと顔を上げる。
確かに一次予選と二次予選……全部同じMVの審査だと確かに時間が足りないという問題が出てくる……ということは……
「はぁ……だったら一次予選はMVの投票で、二次予選はその中のMVをプロたち含めて再投票で決めてもらうでいいでしょ……めんどくさい……」
フランがため息をこぼしながら提案する。つまりは一次予選の一般審査でよかったMVを二次予選ではプロのみの投票で決めるということだった。
「確かにそれいいにゃ!MVは新曲オリジナルでいいにゃ?」
「良いと思いますわ~とりあえず今日そのCM動画作りますわ~モニターの人にも、もう載せる許可は得ていますわ~」
「スライ……早いね」
「当然ですわ~」
ということで私たちのグループは一斉に動画作成の作業に取り掛かる……が1つ何か欠点があることを思い出した、それは誰がナレーションをするのか、ということだった。
「にゃぁ……誰がこのナレーションをするにゃ?」
「それは私たちの中で決めるべきではないですか?」
「私たちの中でうまい人……誰もいませんわ~」
「私は絶対いやですわよ!」
「私も無理かなぁ……」
私もナレーションに関しては全くできないため、ロミさんにお願いをしようと顔を向けたのだが速攻で首を横に振られた。
「あの……私がしましょうか??」
と隣から小さな女の子が歩いてくる……どうやら服の柄的にキリン族らしい……私たちの元の世界にいたキリンは首が長いのだが、この世界ではどうやらそこの特徴は無くなり服の柄で見分けることになる。
「できますの??」
「はい……私昔放送委員のコンクールで優勝をしたことがあります……あっ!見ての通り……キリン族のレインと言います……」
「そこのグループの作業は大丈夫にゃ??」
私は奥で作業している方に声をかけると皆はどうやら間に合っているらしく手を挙げてくれた。
本来はナレーションなど不必要なのだが、つけた方がいいと考えたために着けることにしたのだ。
「じゃあ動画が出来たらそうだにゃぁ……アドリブになるけどいいかにゃ?」
「う……うん……多分大丈夫だと思うけど……頑張る……」
「本当に大丈夫なのですか……??」
私たちは不安を抱えたままPR動画を作成していく……正直かなりかっこいい動画に仕上がったと思うのだが、やはり音声がないとあまり分からなかった。
「動画作れたにゃ、何日あればできるにゃ?」
私はレインの顔を見る……どうやらレインは真剣に動画を見ているらしく何回も巻き戻しをしたりしている。
「この長さだと……明日までには……なんとか……」
「本当にゃ?」
「……2日いただいても……」
「オッケーにゃ!」
ということで私は動画の音声をレインに任せるためにパソコンを渡す……一応音声合成に関してはフランに頼みレインに教えてもらっていた。
どうやらもう音声を付けたら投稿できるようにしてくれるらしかった。
「これで行けるから、あとは出来る?」
「うん!ありがとう!フラン!」
「どういたしまして」
そうして今日の作業は終わった……のだが私の仕事はまだまだ続き結局就寝時間ぎりぎりまで作業をすることになる、そう私担当のスケジュール表、司会者用の紙作成がまだ終わっていないのだ。一応セトリ表とリハーサル日、入場券等はすべて終わらしている。
フランはというと別のパソコンで新たに考えたMV投票用のシステムを作ってくれており、お互い無言の状態で作業は進む……がどうやらフランは限界が来たのか、すぅ……すぅ……と寝息が聞こえてきた。
「私ももう寝るかにゃぁ……一応まだ時間はあるにゃ……進行表的には……まだまだだにゃ……でも会場、一次予選、二次予選、照明・音響担当決まったのは大きいにゃ……あと大きいもので言えば……リハーサルと本番のみだにゃぁ……」
私は不安と楽しみが交じり合いながらベッドに入る……
今まではこんなに楽しいと思ったことはなかったのだ、自分で作ったことも前の姿だとできなかったし、歌うこともできなかった、かつ、こうやってみんなと仲良くもしていなかったのだ。
理由は、ご主人様と出会ってから私の感情は変わったが、昔は私の周りは敵だらけでずっと縄張り争いをしており、恥ねご主人様にも心を許してはいなかった。
そう考えると、今のこの状況は私にとってとてもいいことだとは思う。
今までできなかったことを最大限楽しめているからだ。
「本当に異世界なんだにゃぁ……」
私は1人小さく呟くも返事はなく、ただフランの寝息がすぅ……すぅ……聞こえるだけだった。




