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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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14話 スラチオ学園入学祭決定にゃー


 「皆さん、ようやく今日で入学してから1週間が経ちました。このスラチオ学園には様々なイベントが開催されます」


周りからどよめきが沸く。中には考察班もいるようだった

私も何のイベントか全く見当がつかない。


「皆さん静かにして下さい!いいですね?そのイベントとは……その名も!【スラチオ入学祭】」

「「「「わー!!」」」」


周りは大歓声だった。

私は何のことかわからず混乱する。

昔の世界の学校では入学祭はあまりなかったような気がする。何故知っているのかというと……私は、元々野良ネコなので無断に入り込んでも、文句を言う人がいなかったためである。

いや……私の逃げ足が速すぎてみんな追いつけなかっただけなのだが……


「このスラチオ学園自体入るのはすごく難しいのはご存じですわよね?」


どうやらどうして叫んでいるのか?風に思っていたことがばれてしまったようで……

隣からエリとロミが私の顔を見つめてくる、なぜか顔は真剣そのものだった。

私は結構楽には入れた気がするのだが、実際はどうなるのだろうか?

一応、頷いておいた。


「私達からしたら……このスラチオ学園のイベントに参加できるだけでも奇跡なんですよ?普段は絶対見れないイベントですからね……」

「にゃ?一般解放はしてないのにゃ?」

「していますわ……問題はその事ではなくてよ……その参加者人数なんですの……この街のすべての人たちが集まりますの……私も行きましたが……うっ……」


エリとロミの反応を見るにどうやら相当な大規模イベントらしい……そんなイベントの主催者に立つのが私達ということだった。


(そりゃこんな反応になるにゃ……)


周りの興奮度はもう収まることを知らずどんどん加速しているのだ……。

さすがの先生もこのままだと収拾効かないと思ったのか……。


「皆さん!!喜ぶのは分かりますが……スラチオ学園の生徒であることをちゃんと意識してください!!イメージが大事ですよ!」


先生の言葉に一斉に静かになる、さっきの賑やかさは一瞬で無くなった。それくらいスラチオ学園の生徒という言葉に重みがあるのだ。

とはいえ、一瞬で静かになれる生徒たちもなかなか切り替えがうまいとは思う。


「それではこのイベントの説明を行いますね!まずは屋台など……これは上級生たちとの親睦会のようなものです!ここで仲良くなって一緒に練習に加わるのもよしです!あと一般公開もするので一般客からの話しかけもあると思いますが……その時はスラチオ学園生として受け答えをお願いします!」

「なるほど……つまり上級生の練習メニューをここで聞きだすチャンスというわけですのね」


エリが何やら目を輝かせていた。

私とロミ、ミシュとスライはエリの思想にすぐに気が付いていた。

しかし私には1つ不安があった。それは……


「人前苦手にゃ……」

「え?そうなの??あれだけ目立つ走りしてたのに……」


ミシュは私の意外な性格にびっくりしていた。いや……ミシュだけじゃなくロミ、スライ、エリも意外だったようだった。

正直前世では、人間という巨大生物の中で暮らしており、怖い人間たちを結構見ているのだ。

だから結構お税の前に出るのは苦手なのだ。


「レースはあくまでレースの相手達と私だけの戦いにゃ……周りは関係ないにゃ」

「そう……言われてみれば……そうですね……私も周りは気にして走っていませんね……」


4人は私の言葉に考え込んでしまった。

そりゃそうだろう、今まで周りの事は気にせず、楽しく走ったり飛んだりしていているのだ。いざこういうこと言われると何を言うか困るだろう。


「レースは楽しいですわ~」


不意にスライが話しだす、スライは何故か空を見上げ手を前に組んでいた。

まるで、何かの悟りを開いているかのような……


「観客の応援が私たちの力になるときもありますわ~シャーリンさんがそれを感じ取ることが出来れば人嫌い無くなると思いますわ~」

「スライたまにいいこと言いますわね」

「私はいつでもこうですわ~」


それはないにゃ!と一瞬だけ突っ込みたくなったが、ぐっとこらえる。


「とりあえずこれからは準備時間です!!今日の昼までに各自グループを作り何をするか決めて準備をして下さいね!本番は来週ですよ!!」


私達はお互いを見つめあう。

もうグループは決まったも同然だった……というより先生もわざとこの席順にしたんじゃないかと思うくらい5人の席が私を中心に前後左右のお隣同士だったのだ。


「何するにゃ?」

「うーん……私はダンスが得意ですよ」


ロミが手を挙げる……がすぐにエリが止める。

結構慌てて止めたため、私たちはびっくりしてエリを見た。


「あなたのダンスはプロ級ですわ!!わたくしたちが下手なのがバレてしまいますわ」

「達って……」

「言葉もないにゃ……」

「一緒にされましたわ~まぁ、ダンスしたことないですわ~」


ミシュが若干不満げな顔をする。

私もダンスには自信がないためこれに関しては正直賛同しかねる……。


「でもでも~シャーリンさん歌声綺麗ではありませんでした~?」

「ええ??私知らない曲だったから伸ばすところで後からあ~しか言ってないにゃ」

「あ~あれシャーリンの声だったの!?てっきり仕込み入ってるのかと……」


ミシュが目を見開く。

どうやら何か凄いことがあったらしい?私には良く分からなかった。


「何回か伸ばしているときだけ、すごい綺麗な声が聞こえたんです~」

「私たちはすぐにシャーリンの声だって気付いてびっくりしましたわ、曲を知らないことは知っていましたの、ですが即興で、しかも伸ばしの途中から綺麗に入ってきたのですわ……まるで別人の声のようでしてよ……??」

「私も気付きましたね……私達以外にもその声がシャーリンだと気づいた人、何人はいるみたいです『3人でちゃんと歌っている所を聞かせてほしい!!』という声が割と多かったです」

「そうにゃ?」


私は元々猫なので歌うといってもそこまで本気で歌ったことはないのだ。だから自分でも分かっていない……ということがある。


「では!全員でライブ対決するというのはどうですか!?」


1人の女の子が手を挙げる。周りは黙って軽く頷いている

私達も別に異論はなかった。


「ごめんそれってソロあるの?」


手を挙げたのはフランだった。私は意外なことに目を丸くする。理由はフランの性格的に『歌なんて面倒くさい。それをするならレースの練習する』という可能性の方が高いと思っていたのだ。


「以外だにゃ……」

「何が?ライブはレースにおいて必要不可欠、私はレースに関しては必ず勝っていくから表彰祭ワインドパレードの練習に良いでしょ?ソロの方が緊張もするし」

「にゃ……にゃるほどにゃぁ……」

「やはりそっけないですわね……」


エリが私の耳元で呟く。でも私は嫌な気はしなかった、理由は今まで私の独り言に自分から反応したのは初めての事だったからだ。

前のレース時は私が隠れてついて行ったことを注意したに過ぎない、今回は自分の意思で私に返答した。

そう考えると私はついつい目をほころばしてしまう。


「どうしましたか?シャーリンさん」


ロミにみられ私は慌てて両手を振る。


「にゃんでもにゃいにゃ!!私は全然OKにゃ!!」

「では決まりですね!!私たちの出し物は……私達でトーナメントライブ対決です!!」


皆がおおおー!!と返事をした。

私達はこの時知る由もなかった……この何気なしに決まったライブ対決が……まさかの……あのようなことになることを……

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