119話 違和感の正体にゃー
「起きなさい、シャーリン」
「うにゃあ!?忘れてたにゃ!」
「レースの時間ですよ」
私はフランに起こされ、目を覚ます。
カレンダーを見ると今日は2月の23日で、2級レース本番の日なのだ。
そうして慌てて準備をし、レース会場へ歩いて行った。
今回私が1級レース前の試験として挑む2級レースは、陸上2級レース【パラビューラー】一級レースである【エレベスタリオン】と全く同じ距離でトラックは砂である。
「はぁ……はぁ……足が痛いにゃ……」
私は足を抑えながら歩いていく。
歩くだけでここまで足が痛くなる……一体なぜなのだろうか……
一昨日にトレーニングをし過ぎたせいもあるだろうが……
しばらく歩いているとエリ、ロミ、セレナが見えてきた。
「ちょっとシャーリン大丈夫ですの!?」
「一昨日に無理をし過ぎたのではないですか?今日はやめた方が良いですよ」
「うん!無理したらダメだよ!」
「でもにゃぁ……」
(おかしいにゃ……足が鉛のようにゃ……)
私は今日さすがに無理だと思い、レースを諦めることにしたのだった。
そうして部屋に戻った私は、そのまま椅子に倒れ込んでしまう。
「シャーリン?今日はレースでしょ?何してるの」
「んにゃぁ……足が動かないにゃ……」
「何かあった?1日で歩けなくなることなんてないでしょ」
「分からないにゃ……でも動かないにゃよ……」
とりあえず私は、フランを連れて近くの病院で検査をしてもらうことにした。
その結果は……
「シャーリンさん……あなた最近どれだけレースに出ましたか?」
「にゃにゃ?レースは1週間ほど前にゃ。一昨日トレーニングはしたにゃ……」
「今日が初めての2級レースだったそうだけど」
「そうですか……だとしたらおかしいですね……あなたの足は……恐らく15戦以上は連続で走っていますよ?覚えがないですか?」
「15戦連続にゃ!?」
「はい、このまま走り続けると怪我をする可能性があります」
私とフランは良く分からないまま歩き続ける。
医者から聞いた15戦以上の連続出場……全く覚えていない……
いったい、どういうことなんだろうか。
「おかしいにゃ……」
「確かにおかしいですね、5戦以上の出場は大会規定により禁止されていますので」
「じゃあ一体どうなってるにゃ!?」
「シュレーヌ様に聞くのが一番早いでしょ」
ということで私はフランの方に手を回し、よたよたのまま生徒会長室に向かっていった。
そこで医者から聞いたすべての事をそのまま伝えた。
「15戦以上の出場だと?私の所には今回の1戦しか来ていないがな……」
「どういうことなんでしょうか……」
「分からないな、昨日の事は覚えているか?」
「昨日はゆっくりと部屋で休んでいたにゃ」
「私が見てたからそこは安心です」
「フランが見ていたのならば、間違いはないな……」
「ではやはり医者の間違いでしょうか?」
「いや、それはないだろう。現に今歩くのも厄介な状態だ。何かしらを消されている可能性が高い」
「調べてみます!」
「シャーリンは引き続き休むといい」
「分かったにゃ!」
ということで私たちは、再び部屋に戻って行った。
何が起こっているのか分からない謎な違和感……これは一体……
隣にはフランが座っており、ひたすら悩む顔をしている。
「シュレーヌさんもシャーリンの事を知らないとするならば、シュレーヌさんにも影響を与えている可能性が高いです」
「にゃにゃ?どういうことにゃ?」
「つまり私たちは、何かしらの強大な能力を受けているということ」
「それってつまり……」
「【記憶消去】の可能性が高い……となると……天族が影響を与えている可能性もある」
(天族……前に魔動式運搬車をくれたエレミンも確か、天族って言ってたにゃぁ……)
「一応1人知っているにゃ」
「エレミンでしょ?私も知ってる。けどエレミンは恐らく無関係」
「そうにゃよねぇ……」
「そのとおりです!!」
「うにゃああ!?」
急に白い光で現れたのはエレミンだった。
さすが天族……
「今回の件について報告に来ました」
「私が15戦してるってやつにゃ?」
「何か分かったのですか?」
「はい今回の影響範囲は恐らく、このサイマージュソープ……マージュ国全体です」
私は目を疑った。
何かしら強大な力が、このマージュ国全体に広がっているということ……
「シャーリンさん、フランさん2月23日に何か違和感はありますか?」
「??特にないにゃ」
「なんでしょうか?」
「やはりそうですよね、あなた達もう16回2月23日を経験しています」
「にゃにゃ!?どういうことにゃ?」
「つまり一度も、明日が来ていないということです」
「でもそんなの覚えてないにゃよ?」
「はい、今回影響を与えている能力が……恐らく【強制睡眠】・【時間逆転】・【記憶消去】でしょう。この会話も前に2回ほど説明しています」
私はフランの顔を見るとフランは、横に首を振る。
どうやら全く覚えがないようで……
「これを持っていてください……役に立ちますから」
「分かったにゃ!」
私はエレミンに紙をもらった後、急な眠りに襲われそのままベッドに倒れ込んでしまった。
シャーリン: まさか同じ日を何回も繰り返していたにゃんて……早くこの繰り返しを抜け出さないといけないにゃ!ということでみんにゃ!これからも【猫の私は異世界に行きましにゃー】をよろしくお願いするにゃ!!




