109話 差し込みの練習です(ロミ視点)②
「ぐぬぬぬ……引く力~」
「そうだ!腰を落とすんだ!もっと腰を落としたら行ける!」
「ここからです~~!!」
ゴゴゴ……
と少しづつだが前に進んでいる……しかしここで止めてしまうと、再び1から引き直さないといけないので、それだけは勘弁したい……
しばらく引く練習を繰り返しているうちに、もう、すんなり引けるようになっていた。
自分でもびっくりである。
自分自身は、そこまで気にしておらず、引けている感覚をずっと覚えていただけなのだが……
「さすがに覚えが速いな……このままだとすぐに押せるようになるかもしれんぞ」
「はぁ……はぁ……本当でしょうか……」
「あぁ、俺が保証する」
「ミンさんが保証してくれるなら絶対ですね!」
「えぇ……それは違うだろう……」
ということで私は早速、押しの練習に移りたいと思う。
押す場合は引くときより力を必要とするらしいので、結構大変らしい。
「まずは比較的楽になるコツを1つ教えてあげようか」
「はい」
「まずここからまっすぐ押し込むのはNGだ」
「え?そうなんですか?」
「あぁ……力を消耗しすぎるからな。押すならば、下から足と手と腰を使って一気に……」
ズズズ……
と鉱石が動く、少しの距離なのだが、確かに進んだ。
正直私にはできないと思う……
「これ……私にできますか……?」
「動かす分のパワーは上等。あとはいかにうまく力を伝えられるかにかかっている。まぁそんなに慌てることもない気軽に見つけて行け」
つまりはコツさえつかめば行けるということだろうが……
私は鉱石の正面に立つとそのまま両手で押す……
びくともしない。
次は下から……
びくともしない‥…本当に……できるのだろうか?
「せやああ!」
私は普段出さないような声でひたすら鉱石を押す。
こうでもしないと体に力が入らないのだ。
「はっはっは、まだまだだな、まあだが……あと少しな気はするぞ」
「本当ですか?ならばよかったです!」
「今日はとりあえず終わるぞ、体しっかり休めときな」
「分かりました」
ミンに一礼すると、そのまま私は寮に帰っていった。
さすがに一番乗りで帰って来たのか、皆はまだ帰ってきてはいなかった。
そうして、次の日……
私は再び、ミンと一緒に押す練習を続けていた。
これを動かせたら、私も、エリに並ぶ程の力がある、ということ……
「せいやああ!」
ズズズ……
と音が鳴り、鉱石が動く。
どうやら無事に成功したようで……
「うむ……まずは動かすところまで行けたか、だがまだだ、ここから押してあそこのところまで持っていくんだ」
「分かりました」
ということで私はひたすら押しながら前に進んでいく、正直前が見えていないのでどこを歩いているのか全く分からない。
やはり押すのは引くよりもものすごく力がいるのか、腕と足がめちゃくちゃ痛い。
でもこれこそが、トレーニングをしている。ということ……
「頑張ります!せやああ!」
私はさらに力を入れどんどん押していく。
いつ終わるか分からない恐怖感、楽しいと感じるトレーニング。
私はやっぱりトレーニングが好き。
「もうすぐだぞ!頑張れ!」
「はああ!」
とついに目印のポールが真横に来た。
押し切ったのだゴールまで。
「も……もう疲れました……」
「よくやった!ロミ!やはり俺の見込み通りだな」
「これで、私も差し込み上手くなるでしょうか?」
「ロミ、お前は元々差し込みに関しては俺より上だ。だから自信持ったらいい。今回のトレーニングで足腰の使い方はもうマスターしただろうからな」
「はい!ありがとうございます!」
「正直お前たち3人、そもそもがレベル高いからな……俺も負けない様にしないといけないな」
「一緒に対決することになったら私、絶対負けません!」
「おう!楽しみにしているぞ」
そうして2日目が終わる。
正直私があっという間に動かせてしまったので、かなり時間が有り余っていた。
正直明日も一応、個別指導とはなるのだが、ミンは私へのアドバイスはもうほぼないため、明日は休暇になった。
そうして次の日、私たちはのんびり歩いていると、奥からミリンが走ってくる。
何やら真剣な顔で走ってくるので、心配になる。
「どうしたんだ?ミリン、そっちも個別指導終わったのか?」
「いえ、終わったわけではないのですが……どうやらシャーリンさんがぷプールで泳いでるときに「脱水症状になってしまって……今病室に……」
「それは大丈夫なのですか?」
「まぁ……軽めの脱水症状ならば、安静にしていたら治るだろうな」
「なら良かったです……」
「一応安全確認だけしに行くか」
「はい、行きましょう。私はエリさんの所にも伝えに行きます」
「分かりました!」
ということで私とミンは慌てて病院に駆け込むのであった。
病室ではシャーリンが横になっている。
私の顔を見ると、すぐにっこりしてくれたため、元気そうに見える。
どうして脱水症状になったのかというと、プールトレーニングの間、水を飲んでいなかったそう……
プールは水あるから水分いらないと思われがちだが、全然そんなことはない。
その結果が脱水症状なのだから……
ひとまずシャーリン……リーダーが無事で安心した私でした。
ロミ: 今回は私ですね、まぁ……最後のミリンさんの報告には正直びっくりしましたよ。何せ、水の中で脱水症状で気絶したなんて、命をなくしかねませんですからね……ひとまず無事でよかったです。
ということで皆さんこれからも【猫の私は異世界に行きましにゃー】をよろしくお願いいたします




