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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第2部 レース編
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104話 逃げの練習にゃー(シャーリン視点) ①


 次の日、私は再びトラックの上に歩いていく。

わたしの個別指導の相手はミリンさんで、ミリンさんはレースを見た限り、かなりのハイペースで逃げ、しかもそのままの速度で、走り続けることが出来る。


「シャーリントさん!今回はよろしくね!」

「よろしくにゃ!今日唖逃げについて教えてもらうにゃよね?」

「ええ、そうね!でも、あなたの逃げは私の上を行くわ、だから教えるとは言っても無理なのよねー」

「そうにゃ?」

「【逃げ】と【大逃げ】は全く別の脚質と言っても過言ではないのよ?ただ、基本トレーニングは同じだからそれをやってもらおうかしら」

「分かったにゃ!」


私はビシッ!と手をおでこに付ける。


「とりあえずそうですね……では、シャーリンには水泳トレーニングでもしてもらいます」

「プールにゃ!!?」

「はい!」


私は水が苦手だ。

昔、川に落ちて溺れかけたことがある、そのせいで水に対してトラウマがあるのだ。

前に川で対決したときは、なぜかみんながいるおかげなのかトラウマの事を忘れて泳ぐことが出来たのだが……

今は何故か乗り気になれなかった。


「わたし、昔溺れたことあってにゃ……水には少しトラウマがあるにゃ……」

「あら……そうでしたか……でもまぁ昔は昔です!今は私がきっちりとまずは水に慣れさせるところから始めましょうか」

「今回のトレーニングはかなり長くなりそうだにゃー」

「まぁ……トレーニングはこの学園にいる限り避けては通れませんからね!一応ルールとして1人、上級生がトレーナーとしてつかなければいけないのですよ」

「そんなルールがあったんにゃね……」

「はい~ですので、これからあなたのトレーナーとしてよろしくお願いしますね!私は、あなたがトレーニングしている間、別で、個人トレーニングしているから安心してね」

「分かったにゃ!」


ということで、私たちはプールに向かって歩いていく……

この世界にも温水プールというものがあるらしい……


「着きました~」

「にゃ???」


そこには足首まで入るプールがあった。

最早プールというよりは、冷たい足湯のようにも見える。


「これは何をするプールにゃ?」

「これは水に慣れるためのプールですね、ここだと溺れる心配はありませんから……水遊びしましょうか!水着に着替えてください」


正直この水でも大丈夫なのか分からない……

そのくらい昔にトラウマがあるのだ。


「……大丈夫かにゃぁ……」

「大丈夫です!私が付いていますから!安心してください」


私は、ミリンに言われるがまま更衣室歩いていく。

一応水着はこの時の為に、先に買ってきていた。

どんな水着なのかというと、灰色のスクール水着で、私に似合っているとマナさんが作ってくれたのだ。


「あら?とてもかわいい!シャーリンさんに似合っていますね」

「えへへ……そん……にゃ!?」


私はミリンの水着を見て、声を大きくする。

そうミリンはオレンジ色のスクール水着ではあるのだが、なんとしてもアレが大きく、スクール水着でもわかりやすいほどの大きさがあるのだ。

下手したら、エリより大きいだろう。


「じゃあ、取りあえず行きましょうか」

「……にゃあ」


正直、私はまだ怖いと思っている。

というより、逆にトラウマをそう簡単に克服出来たら、それはもうトラウマではないのだ。


パチャパチャ……


とミリンが先にプールへと足を入れていく……

正直私は足が動かない……前に進もうにも、へっぴり腰になり、この場で立ち止まってしまう。


「うーん……これは大変になりそうね……」

「にゃぁ……ごめんなさいにゃぁ……」

「じゃあそこに座って足だけつけてみて」

「こうにゃ?」


私はゆっくりとプールサイドに座る。

目の前には、昔に溺れた水が……


「じゃあゆっくりでいいから足を水に落としていってね」

「うにゃああ、それが出来たら苦労はしないにゃぁ」

「うーん……そっかぁ……水を怖いと思うから怖いのかもね?眼を閉じて入れてみたらどうかしら」

「目にゃ?」

「うん。本来は見て入れる方が安全ではあるけど、水を見てトラウマを起こすならば見ない方が行けるかなって」

「やってみるにゃ」


私はゆっくりと足を水に降ろしていく……

正直まだ怖くてかなりゆっくり降ろしている。


「ごめんね?ちょっと我慢してねシャーリンちゃん」


すると急に足を掴まれ水に突っ込んだ感覚があった。

一気に下まで足を持っていかれ、私はびっくりして暴れてしまう。


「うにゃあああ!!溺れるにゃああああ!」


私は手をバタバタ動かす。

正直自分でも驚くような騒ぎ方しているだろう。


「ジャーリン落ち着いて!大丈夫!」


ミリンの言葉に私はピタッと止まる。

足に冷たい水の感覚があり、正直ものすごく怖い。

私はひたすら目を閉じて、体を震わせていた。

しばらく体を震わせていると、頭に手が乗せられてゆっくりと左右に撫でられる。

優しく包み込まれるようなその感覚に私は思わずうっとりしてしまう。


「大丈夫、シャーリンは出来る子ですよ~ほら~ゆっくり目を開けてー」

「うにゃああ……」


私はゆっくりと目を開ける。

そこには頭を撫でているミリンの姿が見え、私は少し安心する。

足はプールに浸かっている。

どうやら平気になったのだろう、軽くバシャバシャ動かしても、そこまで怖いという思いは無くなったようにも思える。


「私の手を掴んで、ゆっくり奥まで歩きましょうか、大丈夫、このプールは奥でも足のすねあたりまでしかないですから」

「わ……分かったにゃ……」


ということで私は、ミリンの手を両手でつかみ、プールの中を歩いていく……

正直、いつも地面を歩いている感覚とは違い、何か、逆方向に引っ張られている感覚があり、うまく前に歩けない。

下手したらこの場で転んでしまいそうだった。


「水の中は抵抗がありますから、少し歩きづらいですよね……ではここから……」

「にゃにゃ!!待ってにゃ!」


ミリンは私の手を離し、そのままどんどん歩いていく。

正直、こんなところで手を離されたら立ち往生するしかない。


「シャーリンわたしを捕まえてみてくださーい!」

「そんにゃこと言ったって……」


私はゆっくりと前に歩いていく……正直そんなにスピードは出ないが確かに前に進んでいる感覚があった。

私が進むと同時にミリンも方向転換しながらプールを歩いていく。


「滑らないように気をつけなさい―!きゃー!」


バシャーン!

とみっりんが足を滑らせたのか、前向きに倒れ水しぶきが飛ぶ。


「ミリンさん!今助けるにゃ!」


私はバシャバシャ!と足を水面から出しながら走っていく……

走りずらいけど関係ない……

今は、ミリンを助けないといけないのだ。

そうしてミリンさんのとこまで走ってくると、うつぶせに倒れているミリンの手を握る……


「ぷはー!捕まりましたー!」

「うにゃああ!?」


ミリンがいきなり顔を上げたので、私は思わずプールの中でしりもちをついてしまった。

水着がプールの水で濡れてしまう……


「驚かせないでにゃ!」

「ごめんなさいね!でもシャーリンあそこから無事ここまで来られたね、おめでとうございます」


私は後ろを見る。

気にしてなかったのか、かなり走ってきたらしい……

すっかり水に入っても平気になっていたようだった。


「では次は大きなプールで本格的な練習をしましょうか」


と私たちは隣にある大きなプールに移動することにしたのだった。

ミリン: まさかシャーリンさんがあそこまで水が苦手だと思いませんでした……まぁでも無事私の演技がはまって水に慣れてくれて助かりました!

え?無理やり足を入れるのはやりすぎですか?それは申し訳ないですね……てへへ。

それでは次回も【猫の私は異世界に行きましにゃー】をよろしくお願いします!


個別指導かなり長くなりそうですね……ふふふ……姉系の腕が鳴ります!

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