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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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91話 温泉旅館ライブ本番にゃー


 【シマ×シマ】との合同練習が過ぎ、いよいよ本番当日となってしまった。

 2人は、そこまで緊張という緊張はしていないようにも見えるのだが、私たちはそうはいかず、朝からお互い何も話せていないのだ。

もちろん私たちはライブに関してはいつも、表彰祭ワインドパレードとして歌ったりしているのだが、今回は相手が相手……マージュ国家アイドル界のトップスターとの共演になる。

生半可な気持ちで挑んで、失敗だけは絶対に避けなくてはいけない。


「皆なんまら緊張してるね!そんなに気負わなくても大丈夫だよ!」

「シマルンの言う通りです。今までけっぱって練習してきたじゃないですか、その成果を発揮するだけです。最後の本番、けっぱりましょう!それに運よく今日は雪がまだかなり積もっていますので、お客さんもそこまでいないでしょう」


私はその言葉を聞いて唯一の希望が見えた。

このライブは来るのはどうやら、【シマ×シマ】のモニター登録している人だけらしく、さらにその中でも雪がまだかなり積もっているため、来るのは限られる。

シマリンの話はそういうものだった。


「じゃあ行けるにゃ!」

「シャーリン何でそんなに元気でるの」

「私も緊張してきましたわ……」

「エリに同じくです」

「私は皆の前で目立つのが嫌ですわ~」

「スライはもう十分目立ってるでしょ」


皆も緊張しているようで、エリとロミはまた軽い喧嘩を始めたので、どうやらそこまで緊張はしていないらしい。


「時間は今から約3時間後、別館2階第2ホールの裏側に集合ね」

「了解にゃ!」


ということで私たちは自分たちの部屋に戻る。

その途端、急に疲れが襲ってきた。

どうやら【シマ×シマ】との練習での緊張がほぐれたらしい。

しかしこんなのはまだ序の口……3時間後には、皆の前で合同ライブがある。

恐らく、このような緊張の比ではないことは、考えなくてもわかっている。

とりあえず私たちは、3時間後のライブに備え、ゆっくりと体を休めることにするのだった。


そして3時間後……私たちはステージの舞台裏まで歩いてくるのだが……


「なんですのこの人は!!?」

「さすがに多すぎるにゃよ……」


そう、雪の日にもかかわらずこのホールいっぱいに人が溢れ返っているのだ。

まぁ……ある程度予測はしていたのだが、まさかここまで多いとは思っていなかった。

余裕で10000人は超えているだろう。


「あはは~私たちもここまで大きくなるとは思ってなかったねお姉ちゃん!なんまら人多いじゃん!」

「いいかげん妹には、緊張感を持ってほしいですね」

「そうにゃ!私たちもう限界にゃよ!」

「あはは!それもそうだね!じゃあ行ってくるねー!」

「そこまで緊張しなくても何とかになりますから、楽しみましょう!」


ということで、【シマ×シマ】の2人はそのまま、ステージに向かって歩いていく……

その時、悲鳴に似た観客たちの歓声が沸き上がる。

私は再びアイドルというものを学んだ瞬間だった。


「皆さん!今日は雪の中、私たち【シマ×シマ】2周年ライブに来ていただきありがとうございます!」


「にゃ!?2周年にゃ……」

「しっ!シャーリン、外に声が聞こえますわよ」

「だからここまで人が多かったんだ……」

「とりあえず黙って聞きなさい」


私たちはフランに言われるがまま、シマルンの話を聞くことにする。

先ほどとは印象が変わり、シマルンが真面目に見えてきた。

まぁ、公の場で、本性はさらさないか……

さすがアイドル!と私はそんなことを考えていると……


「今回はですね!私たちのライブはもちろんなのですが!急遽ゲストを呼んでるからねー!期待の新人バンドってことで!応援してあげてねー!」

「皆様よろしくお願いいたします」


いきなり私たちの紹介が入り、みんなで目を見開いた。

ここではもう少し、自分たちの事を紹介し、最後ライブが始めるときに私たちの紹介に入る。

そのはずだったのだけど……

案の定。観客の声は少ししか上がらなかった。

それはそうだろう、誰が推し以外の、名の知れないバンドを応援しようと思うのか……


「新人バンドと言っても、あなどることなかれだよ!皆!」


シマルンの言葉に会場全体が静かになる。

どうやらこの後の言葉を待っているらしい。


「彼女たちはMV選手権で私たちに逆転勝利をしているメンバーたちです」

「主にはレース部門なんだけどね~とんでもないクオリティのMVだったよ!」

「歌もすごく良かったですしね……」

「ってそんなこと話してる場合!?リンねぇ~」

「おっとそうでした」


会場から笑いが出る。

どうやらこの会話はライブではごく当たり前なのか、皆本心で笑っているようにも見える。


「とりあえず皆さんに登場していただきましょうか!【シャースミミリン】の皆さんです!」


という合図とともに私たちはステージの前に出ていく……

正直私は緊張のし過ぎで観客の方を向けず、ひたすらシマルンをがん見している。

おかげでシマルンの腹筋は今にでも破壊されそうなのだが……


「それではリーダー、何か一言ありますか?」


まさかのシマリンから突然の無茶ぶり……

前世でも基本的にアイドルは赤尾鰓でも対応する力が必要だとは聞いていた。

しかし今の私はアイドルですらない一般人……


「何をするのか……くらいで位と思うよ」


小さな声でシマルンが助け舟を出してくれる。

ということで私はマイクを持ち……


「ににゃひゃま!!ごきげんひょう!」 

「ええ!?」


まさかの言葉に皆騒然とするのだが……

私は真剣……


「こほん……皆様こんばんは!私たち【シャースミミリン】にゃ!そしてこの私がリーダーのシャーリンにゃ!このような最高の舞台に出させていただきとても感謝してるにゃ!それと2人も2周年おめでとうにゃ」


私の言葉に2人はそろって頭を下げる。

どうやら上手に話せてはいるらしい……


ということで私はここから本心で話すことにする。

私たち【シャースミミリン】と【シマ×シマ】の応援の気持ちに応えるために。

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