90話 【シマ×シマ】との温泉合同合宿にゃー
急遽【シマ×シマ】との温泉ライブが決まり、私たちは、2人が止まっている1号室に向かう。
2号室から、1号室までは、そんなに距離もなく、簡単に向かうことが出来る。
そこがこの旅館のいいところでもある。
「着いたにゃ~」
「この先にいるのですね……」
「この時点で結構、音は聞こえてきますね……」
「だらしない……」
とフランが銃に扉をガラガラ!と扉を開ける。
私は急に扉を開けたフランを慌てて二度見してしまう。
まさかここまで肝が据わっているとは思わなかったのだ。
「いらっしゃい皆!私もリン姉ちゃんも待ってたよ!」
「いらっしゃい、今回は急な申し込みでごめんなさいね」
「こちらこそ誘ってくれてありがとうございますにゃ!」
ということで、私たちは早速楽器を持ってくる。
外に運搬車をすでに用意していたので準備はすぐなのだ。
何故持ってこれたかというと、1号室と2号室は外の道と同じ高さになっているため、横に付けて楽器などを運び込むことが出来るのだ。
「なにその楽器!?私見たことないんだけど!なんまらかっこいいじゃん!」
「凄い音でそうですね……」
「鳴らしてみますわよ!」
とエリが撥を手に取り、大きく太鼓をたたく。
ドン!!
と地面がまるで震えたかのような音が鳴る。
前世も大太鼓があったのだが、ここまで大きな音は確か出ていなかったはず……
「私の想像以上の楽器に仕上げてくれたんにゃよ」
「私にはぴったりの楽器ですわ!」
エリは本当にこの楽器が気に入ったようで、私はとても嬉しい。
尺八の方も2人は興味を示してくれており、ミシュが頑張って説明してくれている。
「さぁ!とりあえず、練習始めますね!」
「はーい!」
初めの合同練習は、とりあえずはじめ個人練習そして、グループ練習、そして最後全員での合わせ練習という流れになった。
正直、私たちはお陣練習の時点で結構大変だったので、本当に大丈夫なのだろうか。
と私の心の中には不安がある、
個人練習が終わり、【シャースミミリン】の私たちは1つに集まる。
正直楽器の音がこのバンドではメインではあるので、アイドルである2人に迷惑が掛からないか少し不安ではある。
「私たちの事は大丈夫ですよー!気にしないで演奏してください!」
「私も全然気にしてないよー!」
2人からの了承も得たので私たちはグループでいつも通り合わせる。
1回目の成功したあの感じを思い出して……
……しかし、なかなかうまい事行かない。
「何でですの!?」
「うーん……何かが足らない気がするにゃぁ……」
「前までよりは、確実にうまくなっているような気がしますが……」
「分かりませんわ~」
「とりあえずひたすら練習するしかないでしょう」
そんな私たちを見て【シマ×シマ】の2人が歩いてくる。
どうやら、私たちのモヤモヤを何かわかっているらしい。
「演奏は凄い良かったと思いますよ!さすがですね」
「うんうん!私も聞いていて心に響いた!でも……」
「それだけですかね……私たちに聞かせるという思いがなんでしょう……伝わってきませんね……」
「そうだね!もうみんなは上手に演奏できてるから!あとは自身を持つことだね!」
「にゃうう……そうにゃよね!」
「では皆さんに!私とリン姉ちゃんから特別なライブを!お見せします」
「ええ!?」
「ほら1行くよ!」
どうやらシマリンの方は準備をしていなかったらしい……
そうして音楽が流れる……
初めシマリンはおどおどしていたのだが、ダンスに入ってからはまるで別人のようになる。
「にゃにゃ!?」
「凄い……歌もダンスも異次元!!」
「なんですの!?この気持ちは……」
「2人の思いが私たちに伝わってきますね……」
「元気が出ますわ~」
「私たちと違って、自身に満ち溢れているのね」
気が付いたら、私たちはあっという間に虜にされていた。
これがアイドル界トップのパフォーマンス……私たちとは似ても似つかない素晴らしいパフォ―万sぅだった。
演奏が終わると私たちは思わず立ち上がり大拍手を送る。
最早お金を上げたいくらい……そのくらい私は衝撃を受けたのだ。
「2人の大事なライブに私たちが参加してもいいにゃ……?」
正直この二人の実力を知って、出来たばかりの私たちの演奏を見せるのは、失礼に当たるのではないか。
とそう思ってしまう。
私以外の5人も圧巻され、私の言葉に頷いている。
「初めは皆さんそんなものですよ。でもその緊張をなんまら楽しむか、無駄にするかはあなたたち次第です。失敗しても大丈夫ですよ?」
「私たちなんて2人ぶつかって大転倒して大減価したことあったよねぇ。あはは!!」
「その話はやめなさい!」
(どれだけすごい人でも……やはり失敗はするんだにゃあ)
私は目の前で軽く言い争っている2人を見て、結構気持ちが和らいだ……気がした
ここで悩んでいても確かに仕方ない。
私がすべきことはただ一つ。
「みんにゃ!私たちの初めのライブ……楽しむにゃよ!」
私は振り返り、5人の顔を見る。
5人も私の決意を理解してくれたのか……
「仕方ないですわね!やりますわよ!」
「リーダーが決めたことならね!」
「やはりそういうと思いました!」
「頑張りますわ~!!」
「私はいつだって全力だけど」」
「やっぱりいいメンバーねシャーリン」
「これから何回も本番まで合わせるからねー!」
ということで温泉ライブ当日まで、ここから何度も合同練習を重ねていくことになる。
そうして迎えた本番当日……
温泉旅館にはたくさんの観客が集まっているのだった。




