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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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85話 魔力式全自動運搬車水上モードにゃー


 もう走り始めてから1時間程が経過する。

さすが魔力……長いから割愛。

さすが黄鉱石の魔動車、全然壊れる気配がない。


(まぁ……こんなので壊れたら車とは言えないにゃ……でも本来異世界の乗り物は木でできているから壊れやすいイメージはあるにゃ。だから壊れないの基準が甘々だと思っていたけど……そんなことはないにゃね!私の契約者になってくださって助かったにゃ!)


一方その頃、隣の部屋ではミシュたちがゴロゴロとくつろいでいた。

隣の部屋の方が運転席がない分広く、ベッド、ソファーなどなどが置いてある。


「暇ですわ」

「エリ……隣ではシャーリンさんが運転してくれているのですよ?失礼ではありませんか?」

「ロミだってさっきまで寝てましたわよね!?」

「断じて寝ていません。精神統一です」

「ところで2人共フランは?」

「隣でシャーリンと一緒にいます」

「こっちだとうるさいからですわ~」

「なんとも言えないなぁ……」


そして私たちの部屋では、隣にフランが座っている。

どうやら隣はうるさいとのことでこっちの部屋に来たらしい、まぁ……フランらしいと言えばフランらしい。


「この先海ですよ」

「そうにゃ?避けてきたんだけどにゃあ……」


どうやら温泉旅館は海の向こう側らしい……

回り道して向かてもいいのだがそれだと時間がかかりすぎる。


「海を渡るにゃ」

「本気?この魔動車高すぎて倒れるけど?」


そういえばそうだった、今まで気にしなかったのだがこの乗り物は高さがものすごく高いため、このまま海に浮かべようものなら倒れるのは当たり前……

しかし、エレミンが言うには水の上も走れるということだ。

つまりどこかに仕掛けがあるのだろう。

私は海の目の前で停止する。


コンコン……

と扉をノックする音が聞こえる。


「にゃー?」

「ここから先はどうしますの?」

「海を渡るにゃ」

「本気ですか?」

「倒れますわ~」


どうやら皆も同じ反応だった。

でも、私はエレミンさんを信じることにする、ボタンに関しては車輪の雪上・水上の切り替えしかないが他に何かあるはず。


「とりあえず行くにゃよ!」


私はゆっくりと水の中に入っていく……

すると何やら音が鳴っている。

何か動いていらしいけどここからは見れない。


「ミシュにゃん上から何が起きてるか見てほしいにゃ」

「分かった!」


とミシュが運転席の後ろにあるはしごを登っていく。

この運搬車なんと天井にハッチが付いており外に出られるのだ。


「シャーリン!なんか下だけ横に広がってるよ!」

「にゃるほど!自動で倒れないようにしてくれているにゃ」


どうやら水に浸かると自動で運搬車の下部分が左右に広がり浮く仕組みらしい。

私は車輪の水上ボタンを押す。

すると今度は車輪から何やら板のようのものが10枚ほど飛び出してくる。

どうやらこの板で水をかき分けて進んでいくらしい。

この運搬車は前後輪駆動のため後ろにも同じような板がついていると思う。


「本当に浮きましたね……」

「凄いですわよ!」

「初めて見ましたわ~」

「私酔うかも……」

「出すなら海に出しなさいよ、汚いですから」

「とりあえず行くにゃよ!」


私はアクセルを踏むと車輪は白い水しぶきを上げながら回転する。

さすが両方回っているだけあって速度もかなり早い。

前世の一般の船よりは確実に速いとは思う。

まぁ……私が野良猫だったとき山から見ただけなので、本当の速度は分からないけど。

見ただけでも早いことは分かる。

フランはただ黙って私の横に座っている。


「フランは皆の所に行かないにゃ?」

「私はいい、あっち行くと騒がしいし」

「にゃはは……フランらしいにゃよね」


水しぶきの音が聞こえてくる。

こんな体験など絶対に前世ではできていなかった。

何せ猫含むペットは立ち入り禁止の場所が多く、そこまでいろんな場所には行けなかった。

私にとっては、この世界に来てからすべてのことが新鮮に感じる。


フランはチラッと隣の部屋を確認する、どうやら皆は騒ぎ疲れたのかすっかり眠っているようで寝息が聞こえる。


私は運転をしないといけないため眠れない。

正直、もうかれこれ2時間程運転をしている、さすがにそろそろ疲れが見えてきた。


「シャーリン」

「なんにゃ?」

「交代」

「別にいいにゃよ?」

「結構疲れてるし、リーダーが倒れたら元も子もないでしょ」

「にゃうう……確かに」


ということでここからは、フランに変わってもらうことにした。

それで何よりも驚いたのが……完ぺきに運転の操作を分かっている。

私の事を見ていたのだろうが、それでも1発で成功させるのはさすがの一言に尽きる。

ということで、私は操縦はしばらくフランに任せて、眠ることにした。


そうして2時間が過ぎた。


「うーんにゃ……しまった!寝すぎたにゃ」

「起きたの?まぁ2時間ほどだけど」

「フランに運転任せきりもダメだと思ったからにゃ!変わるにゃよ」

「いや別に気にしてないし、はぁ……分かったわ」

「ありがとにゃ!」


ということでフランと入れ替わる。

いったいいつになったこの海を抜け出せるのか分からないのだが、私はただひたすら前に進み続ける。


「ところでシャーリンは」

「にゃ?」

「シャーリンはいったい何者?前にこの国の外から来たから何も分からないって言ってたけど、本当にそう?私はそうとは思わない。まるでどこか別の世界から来た種族のようなそんな感覚がしてたのだけど、どうなの?」


私にとって1番聞かれたくない言葉だった。

まぁ一番早く気付くのは同居人であるフランだと思っていたのだが、まさか一番初めから違和感に気が付いていたとは……

私にとっては絶体絶命にピンチだった。

ミシュ「何かフランとシャーリン話してるけどなんだろう?」

エリ 「壁に耳を付けても聞こえませんわよ」

ロミ 「同じことをしてるあなたが言いますか?エリ」

エリ 「うるさいですわね!」

スライ「あまり騒がしくするとバレちゃいますわ~」

ミシュ「雪降ってきたね」

エリ 「この国でここまで雪降るのは珍しいですわよ?」

ロミ 「そんなことより早く言いなさい」

スライ「私が言いますわ~。皆様~これからも私たちの活躍よろしくお願いいたしますわ~」

ミシュ「私たちの出番は、今回寝て終わったけど……」

エリ 「次は必ずありますわよ!」

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