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猫の私は異世界に行きましにゃー  作者: 蜂鳥タイト
第1章・第1部 ライブ編
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83話 楽器を取りに行くにゃー


 エリの騒動が終わってから1週間が経ったある日の事。

ついに楽器が完成したとの報告が私の所に入ってくる。

皆にはどんな楽器なのかは、名前だけでどんな楽器なのかは伝えていない。

私もこの世界での和楽器がどのような形になるのか分からないので、少し興味がある。


「ということでこれから取りに行くにゃー!」


私は今回1人で取りに行くことにした。

その理由はサプライズするために、どのくらいの大きさの場所が必要なのかを見ておきたい。

そうして歩いていると、いよいよ待ち合わせの公園にやってくる。

どうやらまだ楽器店の人は来ていないらしい。

しばらく待っているとガタガタ……と音が聞こえる。


「なんにゃあ!!?」


奥から巨大な物がこっちに向かってきていた。

真ん中には、側面に両面扉と普通のドアのついた巨大な長方形の胴体。

後ろと前には小さく凹凸のついた巨大な筒のようなものが付いている。

恐らくこの2つの筒が周りこの巨大なものを動かしているのだろうと私は予想する。

というか……回って動いてきたので間違いはないはずなのだけど……


「お待たせしました!持って来ましたよ!」

「……これはなんにゃ??」

「はい!特別で作らせていただきました!運搬用の魔動車です!お金は必要ありませんので、この魔動車ごとお持ち帰りください!」

「凄いにゃ!!」


高さは余裕で家の屋根2階分を超えてくる超巨大な運搬車なのだ。

この世界は鉄等がないので、色的にはすべて木でできているように見えるのだが、どうやら魔法で壊れないようにしてくれているらしい。


「楽器ならば中に入っていますよ!この運搬車にはあることが出来るように私が細工しました!」

「細工!?楽しみにゃ!!そういえば名前聞いてなかったにゃよね?」

「あ!!そうでした!私、エレミン・エレエルです!天族です。エレミンとお呼び下さい」

「天使にゃ!?それって……」

「あはは……まぁ天族とは言っても私はあの方たちとは違いますから気にしないでください!もしもあの方たちとレースをするならば、天族だけの秘密を教えることは出来ます」

「良く分からないけど分かったにゃ!それより……」

「はい!細工の事ですね!見てください!」


エレミンが扉の横についている1~12個のボタンのうち1番を押す。

するとなんということでしょう……

エレミンは2つの扉が開くと、中からゆっくりと黒色の布をかぶった何かが左から現れる。

そしてゆっくりと私たちの所に押し出されてくる。

その大きさから推測すると、今回の楽器は思っていた以上に巨大で、恐らく……かなりの重量があるに違いない……

しかも出し入れはすべて全自動。

この輸送車は、見た限りだと何層にも収納箇所が分かれており、中でぐるぐる回り押し出す仕様らしい


「これが私が作った……最高傑作です!」


とエレミンが布を外す。

そこには目を疑うほどに完ぺきに……

そして懐かしい大太鼓の姿が目に飛び込んできた。

台車に乗せて横倒しの状態だ。


「凄いにゃ!!ものすごく大きいにゃ!」

「へへーん!そういえばバチってこのくらいの大きさでいいですか?」

「少し大きめにゃ……」

「そうですね、この太鼓をたたくとなると……絵のバチではすぐに折れてしまうので、大きめに作りました!エリさんにはちょうど良いと思いますよ」

「にゃるほどにゃ!ところで……この車……大きさはどれだけあるにゃ??」

「はい!胴体は縦10Mで横が20M、高さが12Mですね!えっと収納は下に6、上に6スペースで5m×5mで分かれています!そしてこの円形の筒は直径5M横10Mあります!この大きさの割に地面から胴体までは6M程離れているので安全ですし!」

「横の長さ合わせて30Mは大きすぎにゃ!?」

「そうですね……私が見た限りだと最大規模の魔動車だと思います」

「でもよく木が持つにゃ……」

「あっこれ実は鉱石なんですよ!」


初耳だった。

どう見ても木のように見える配色なのだが……

私の不安はすぐにエレミンが教えてくれる。


「今は色を塗っているため分かりませんが、これは黄鉱石きこうせきと呼ばれる鉱石で作ったんです」

「黄鉱石?」

「はい!魔力を大幅に増幅させるかつ、水よりも軽く、しかも一番頑丈な鉱石なので絶対に壊れないです!」

「そんなの最高にゃ!」

「はい!今回溜まってあった分、すべて無くならせることが出来たので嬉しいです!」

「待つにゃ!お金払うにゃよ!?そんな高級な金属高いにゃよね!?」

「いえ、普通に……」


とエレミンが奥の石を見る……どこにでもある普通の石。

私はゆっくりとエレミンの顔を見る、なんとなく答えは分かる……


「あの石が黄鉱石?」

「そういうことです。まぁ高級ではありますが売れませんね」

「何でにゃ?」

「加工がほぼ不可能と言われている金属なんですよ。加工できるのは私の師匠と私だけです。だけど私も師匠も加工できるとは公言してません。他の業者さんからいらないって私たちに無料でくれたやつで作ったのですよ。それに黄鉱石は大きい方が扱いやすいですし!それともう1つ!秘密がありまして」


とエレミンが両開き扉の横についているのボタンを押す……

すると下についていた足場がゆっくりと動き出し、そのまま降りていく。


「これだけ大きいと乗るのも自動なんにゃ……」


その結構上には少しだけ突起している場所があるので恐らくあそこが運転席だろう、横に扉が付いているのが見える。

数分ほど待っているとエレミンが顔を出す。


「前後どこでもいいけど筒みててください!」

「分かったにゃ!」

「行くよー!」


私は前の筒を見る……

するとなんということでしょう……筒に無数の穴が開きそこから無数の棘が生えてくる……


「これは雪、山専用です!そして……次!」


私は再び筒を見ると今度は何やら板らしきものが現れる……

今は地面についているためそこまでは出てないが……これは恐らく海専用だろう。

と私は思った。

水よりも軽いということは単純に水に浮いてしまうということだから。

そうして普段のタイヤにしてもらうと、私は実際に運転席に座らさせてもらった。

運転席は高く10Mの位置にあるので、扉を開けてすぐにエレベーターが付いている。

エレベーター付きの車が一体何処にあるのだろうか……

運転席の窓からはタイヤがはっきりと見える。


「どうやって動かすにゃ?」

「まずは左についているレバーを前に倒してください」

「倒したにゃ」

「それが進む方向です。そして次、右下にペダルがあると思うのですが‥…」

「あるにゃ」

「踏んで見てください」


私は恐る恐る踏む。

すると前に見える筒が回り始める。しかも結構速い

本当に少ししか踏んでいない。

しかしこれだけ出るということは、相当速度が出るのではないだろうか。


「黄鉱石はかなり魔力を増大させますからねそれをこれだけ使ってますから……ちなみに燃料は魔力なので、この黄鉱石がもともと持っている魔力だけで動かしているので心配はありません」

「大体どれくらいのパワーにゃ?」

「そうですね……大体9000万MPくらいはあります」

「MP?」

「魔力量を表す単位です【マジックパワー】とも呼ばれています。一般の魔動車は、大体1900万MPですね、高くて2000万MP行けばいいかと」

「7000万も違うにゃ!?」

「黄鉱石の力です」


私再び運搬車を公園に止める。

今回はエレミンにたくさんお礼をしないといけないと思ったわけで……


「エレミンさん今回は本当にありがとうにゃ!」

「いえいえ!こちらこそありがとうございます!私も初めての挑戦をできました!これからもどうぞ私たちの楽器店をよろしくお願いします!」

「そのことなんにゃけど……エレミンさん個人になるけど……私たち……【シャースミミリン】の専属にならないかにゃ?」


エレミンは目を広げる。

一応学園規定で複数の専属契約はOKとされているためで、ここでエレミンさんと離れてしまうと、ダメな気が私の心をよぎったのだ、

エレミンさんは少し俯き再び顔を上げたとき、満面の笑みで私にこう言った。


「こちらこそよろしくお願いいたします。シャーリンさん!」


こうして、個人ではあるのだが、個人専属契約として、エレミンさんと契約することになるのだった。


シャーリン:ところで個人専属契約と通常専属契約って違いはなんにゃ?


エレミン :えっと……基本的には変わりませんね、店全体が専属になるか、私だけ専属になるかの違いだけだと思います。


シャーリン:どっちが多いとかあるにゃ?


エレミン :基本的には、通常専属契約が多いです。理由としては個人というのは、店の道具や素材に頼れませんから。自力で素材を集めないといけなかったりするのです。私はこういう仕事好きですから惜しみなく道具とか素材とか買ったり取りに言ったりしますけど。そのせいで作る時間は長くなります。

しかし、その分、思うがままに自由に急遽変更とかできますね。


シャーリン:つまり、こういうことにゃ?、通常専属は早く作ってくれるけど、急遽の変更は店の兼ね合いもあるから無理な場合が多くて、個人契約の場合は、急遽変更依頼しても店に影響ないから可能、だけど素材調達などなどの時間がかかるってことだにゃ?


エレミン :そういうことですね、ちなみに時間の例だと通常専属で30分かかる場合だと、個人だと1時間かかるという計算です。2倍の時間がかかりますね。


シャーリン:了解にゃ!

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