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自主練習
マジックの練習開始から少しすると、リンちゃんはうんざりした顔をしだす。
姫野先生から少し遅れると連絡があり、朝と同じく自主練習をしている。
「ねえポーちゃん。やっぱり魔法の練習もしようよ」
「今日は手品の練習、言ったのはリンちゃん」
「……魔法も手品も、同時にやれたら良いのに」
「基本は大切」
ポーリャは、シルクハットから風船やぬいぐるみを出す練習を繰り返す。
一方、リンちゃんは、気もそぞろにゴムボールを投げては受け止める。
何度か行っているとボールの落下地点がずれ、頭上に落ちてきた。
ポーリャの視線を感じ、リンちゃんは目をそらす。
「ちょっと気分転換するね」
リンちゃんはマジック用の杖を取り、呪文を唱える。
――音色よ、音色、音の色、
ボールよ、舞って、くるくると
投げたボールが、宙に舞う