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授業
「今日からはリコーダーの練習をします」
姫野先生は授業が始まると、目を閉じてリコーダーを吹く。
教科書に載っている曲が流れる。
「先生、笛って社会に出たら使いますか?」
吹き終えた姫野先生に質問が飛ぶ。
余韻を楽しんでいたリンちゃんはむっとした顔になる。
「そうね。私個人の意見だけど、学校で習ってそれっきりの人が多いかな」
姫野先生はあっけらかんと答えた。
その言葉にリンちゃんはぽかんとする。
「とは言っても、みんなはいろんな歌や曲を、耳にしているよね。その基本となる
部分を体験することが音楽の授業と、先生は思っています」
音を楽しむ、と書いて音楽、と姫野先生は告げる。
「基礎や基本を学んでおくと将来役に立つはずです。そのまま使うかどうするか
自分で考えて、自分で決めていってくださいね」
姫野先生はそう締めくり、授業を再開する。