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どっちもどっち
「魔法、上手くなった。先に始めた私よりずっと」
ポーリャは少し口をとがらせて話す。
「でも、リンちゃんは頑張りすぎ」
やや間を置いて、付け加えるポーリャ。
「見ているこっちが、ハラハラする」
ポーリャは寂しそうに、また少し悲しげに言葉を紡ぐ。
「そうなの……?」
「うん」
「そっか。そうなのか。ポーちゃんも悩んでいるのね」
リンちゃんは明るい笑顔を見せ、ポーリャに答えた。
「それで良い。リンちゃんの笑顔は、いつも元気をくれるから」
「ポーちゃんといると、私も元気になれるよ」
リンちゃんとポーりゃは向き合い、同時に口を開いた。
「ありがとう」
同じ言葉を同じタイミングで。それが息ぴったりすぎて、二人は笑いあう。
その声のせいなのか、もう一人の図書委員の子が起きた音がした。