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窓の外からこんばんは
茜色に染まった空が黒に変わる頃、リンちゃんは家に着き、冷蔵庫を開けた。
(どうしようかなあ)
リンちゃんは自分の部屋で、ホットドッグを眺めていた。
紙のお皿に乗り、ラップをかけてあるホットドッグをじっと見つめる。
(これを食べると晩ご飯が……)
リンちゃんが悩んでいると、コンコンコン、とノックする音が窓から聞こえた。
カーテンの隙間から、窓の外を見る。
「え?」
窓の外には姫野先生がいた。勢いよくカーテンを開ける。
「こんばんは。リンちゃん」
「こんばんは、姫野先生」
「魔女は星の力を借りた箒で夜空を飛ぶの」
月の輝く空を光る箒に横座りで飛んでいる姫野先生に、リンちゃんは告げた。
「先生!私も魔法を使ってみたい!教えてください!」
そう叫ぶリンちゃんに、姫野先生は優しく見つめ、答える。
「ええ、良いわよ。ところで、なにか食べものある?お腹すいちゃった」