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運んだ先で
(どうやって本を戻そう……)
リンちゃんは本棚についた後で、途方に暮れた。
(台とかあればなあ)
周囲を見渡してもステップがあり、その近くには勉強している人がいる。
(どこか置けるところ置けるところ――)
急に本が重くなる。
(もう魔法切れちゃったの?)
リンちゃんは手と足に力を入れ、震えながら持ち続ける。
その震えは揺れとなり、本に伝わっていく。
バランスを取ろうと体を動かしてみるものの、揺れはますますひどくなる。
リンちゃんが声を上げようとすると、小さな声の呪文が聞こえた。
――クマよ、クマ、クマ、クマの神
ひっそり動く、ときみたく
静かにさせて、この場所を