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頑張ろう
リンちゃんは杖を取り出して魔法を唱える。
――音色よ、音色、音の色
どんどん本を、運ばせて
力を貸して、少しだけ。
リンちゃんは図書準備室を出て、また本の山に向かう。
(図書室に私だけだったら、本を浮かせて次々に片づけられるんだけどな……)
魔法は内緒、気づかれたら大騒ぎになる。
だからこそ、リンちゃんはこっそり魔法を使い、運んでいこうと考えた。
リンちゃんが本を手に取ると、軽々と持ち上がる。
(これなら運べる。音と動作を合わせると上手くいくのかな)
リンちゃんは本を一山持ち上げる。
本が壁のように視界を遮った。
(頑張ろう。自分の力だけでやり抜くって、決めたんだもん)
リンちゃんはゆっくりと本を運んでいく。