85/165
聞くと聴く
リンちゃんは窓の近くに足を運ぶ。
サッカー部の声を聞く。
吹奏楽部の練習している音も。
時計の針の音を聴く。
誰かがノートに文字を書いている音も聴こえる。
本をめくる音も。
リンちゃんはさわやかな風の中、周囲の音に、しばらく耳を傾けていた。
* * * * *
「うわ……まだこんなに」
リンちゃんが返却された本の山を見て、うんざりした。
もう一人の図書委員の子はうつらうつらと船を漕いでいる。
(私も本を読んでいたし、おあいこよね)
リンちゃんは静かに後ろを通り、自分の荷物がある図書準備室へと入った。