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他人行儀
「こんにちは朝霧ちゃん」
「こんにちは……どちら様でしたかしら?」
「え。私だよ。清白」
「ああ。りっかさんのお姉さん。妹さんにはお世話になっています」
「私がリンちゃんだよ。リンちゃんって呼んでほしいな」
「まあ、妹さんの真似が上手ですのね」
「だから……」
「雨で約束が流れ、気落ちしてましたが、おかげ様で元気が出てきましたわ」
「………………」
「ありがとうございました。では、ごきげんよう」
朝霧はぺこりとお辞儀をして、また歩いていく。
その姿を見送ると、リンちゃんはまた手鏡を取り出す。
鏡にはいつもの、中学生の自分が写っていた。
そこにポーリャが通りかかる。
「あ、ポー――」
「誰?」