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魔法の調味料
タンドールでじっくりと焼かれたチキンも注文し、楽しい時間を過ごした。
「ごちそうさま。おいしかったよ」
「余ったルーとナンは持って帰っていいかしら?」
「少々お待ちください」
母がドギーバックを頼むと、マリーはスパイスを作る手を止め、準備に入る。
父はその間にお金を払っていた。
「カレーのおいしさはスパイスっていうけど、魔法みたいにおいしかったね」
母の言葉に、リンちゃんはマリーがいた場所を見つめる。
(マリー君も魔法使えるのかな)
お店から出て車に移動する時に、リンちゃんは告げた。
「町の中を歩いて帰りたいけど、良いかな」
「雨が降りそうだから、傘を持っていくんだよ」
「遅くなるなら、連絡ちょうだいね」
両親の車を見送り、リンちゃんは一人になる。
「よし」