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ぐずついた空模様
そう約束して朝霧は生活委員会へ、リンちゃんとポーリャはマジック研究会へ向かう。
* * * * *
部活が終わり、帰宅してテレビをつけると、天気予報がやっていた。
『しばらくはぐずついた空模様となるでしょう』
『傘も必要になりますので、防寒対策はしっかりしていきたいですね』
天気予報の人とアナウンサーの会話にリンちゃんはガーンとショックを受ける。
「せっかく約束したのに……」
「花冷えね。今年の桜は雨で散ってしまいそう」
「そういうときもあるさ。天気ばかりはお天道様の言うとおりだからね」
食事を終え、リンちゃんはふらふらした足取りで、後片付けを始める。
食器が手からツルッと滑り、ステンレスの流し台の上に落ちる。
「写生大会と部活で疲れちゃった?今日はもう部屋で|休んで良いわよ」
「……はい、ありがとう。お母さん」
身も心も疲れていたリンちゃんは、母の言葉に甘え、部屋に向かう。