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起きる季節
小さくちりんという音が聞こえた。
のしのしと音も響く。
どちらの音も次第に大きくなっていく。
「何の音だろう?」
ハクは耳を澄ます。
「これは、クマかな。クマが起きているなら春なのだろうね」
そう|言って、すくっと立ち上がる、ハク。
「では、春を伝くるとしようか」
「え……っと、あの、私!」
「用が済んだなら帰りなさい。みんな待っているからね」
ハクの声と姿が遠くなり、周囲はまた、暗闇に閉ざされる。
* * * * *
「……ちゃん。リンちゃん」
「ポーちゃん」