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春の音
「リンちゃんは、どうしてここに来たんだい?」
「季節は春なのに草も木も花も弱々しく感じるの。だから起こしに来たの」
「今は冬だろう。大雪があったからね」
「あれは……その」
リンちゃんは口ごもる。
「雪の量からして、今までが小春日和だったのだろうね」
リンちゃんは覚悟を決めて、本当のことを口にする。
「あの雪は私が魔法で降らせちゃったの!今はもう春なのよ!」
「なら、今の季節を教えておくれ。春一番や寒の戻り、季節を魔法で見せとくれ」
(春の音……春の音……なにかあったかな)
タマノさんの視線と言葉に、リンちゃんは緊張し、頭の中がパニックになる。
そんな中リンちゃんの耳に、ポーリャの声が聞こえた。
――クマよ、クマ、クマ、クマの神
眠っていたら 起きてきて
のしりのしりと こっち来て