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写生大会
第七話 絵画を染める音の色
ぽかぽかした春の日差しとそよそよとした風が吹く絶好のお出かけ日和の今日、
リンちゃんたちのクラスは、校内で写生大会を行っていた。
「うららかな春の陽気が気持ち良いや」
「この間の大雪って、キツネかタヌキに化かされた感じがするね」
誰かの話し声がリンちゃんの胸に刺さる。
「今日は写生大会です。締め切りは今週末です」
美術の先生の声に、クラスメートたちは思い思いの場所に散っていく。
環簪花中学校は広く、屋外ならグラウンドや花壇、テニスコートがある。
旧校舎や本校舎、体育館があり、風見鶏のある屋上からは、二重崎白町が
一望できる。そこからは海や白亜の灯台、桜並木が見える。
「写真コンテスト?広報委員で何かやるの、菫山君」
「広報委員会独自のコンテストでね、綺麗だなって感じた写真が、欲しいんだ。
良いものは校内新聞に使うから」