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背中を見て
水浸しの教室は、朝霧の魔法で入れるようになり、三人で乾拭きした。
リンちゃんがごみを捨てに行くと言うと、朝霧は公平にじゃんけんで決めようと言い、
その結果、朝霧がごみを捨てに行った。
「……魔法、上手くなろうね」
「……うん」
ゴミ捨て場に向かう朝霧の背を見ながら、リンちゃんとポーリャは誓った。
* * * * *
「素敵な友人ができたのね」
夕食の準備中に、今日の出来事を話すリンちゃんに母は答えた。
「言い方はちょっときついけど、良い子だよ」
「リンちゃんもいろんな子と知り合って、世界を知っていけると良いね」
「そう言えば、お父さんはなんで私のことをリンちゃんって呼ぶの?」
腕まくりをしていた父はリンちゃんの質問に、答えた。
「リンちゃんがそう呼んでって言うからさ。僕はできる限り、相手に合わせるよ」