58/165
見習い魔女
水拭きはされた。その証拠に、教室の床はびしょびしょになっていた。
「……一応できた」
「……あとは拭き掃除だね」
リンちゃんとポーラは大きく肩を落とす。
教室に戻ろうとすると、朝霧がやってきた。
「朝霧ちゃん。どうしたの?」
「私もマジック研究会の一員ですから、清掃に来ましたわ」
朝霧は教室を見るなり、血相を変える。
「いったい何が、どうして、こうなりましたの?」
「えーと……」
リンちゃんがどう説明しようかと考えていると、朝霧が先に口を開く。
「ひょっとして、魔法を使いました?」
「え?なんでわかるの?」
「杖を持っていらっしゃるでしょう。それに私も魔女見習いですし」
朝霧はイギリスで魔法を教わり、転勤で日本に来たと言う。
「東京にいたと思えば、二重崎白町……引っ越しばかりで気が滅入りますわ」