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朝の会話
「朝から持ち物検査なんてげんなりするよなー」
「まったくよねー。もっと生徒を信じくれてもねー」
「そうそう。自由で良いと思う」
廊下で隣のクラスの子が口々に話している。
教室からポーリャが顔を出し、挨拶をしてきた。
「おはよう、ポーちゃんはどうだった?」
「ぬいぐるみはセーフ。スマホも」
「スマホもオッケーなの?」
「うん。マナーモードにしてカバンの中に入れておけって」
「そうなんだ。持ってきてもよかったんだ」
「うん。ちょっとビクビクした」
「もしトランプ選んでいたら、大変なことになって――」
「ですから、申し上げているでしょう!」
いたね、とリンちゃんが言おう前に、大声が廊下に響く。
見ると、持ち物検査の会話をしていた子たちに苦言を呈する子がいた。