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準備をしよう
「作れるんですか?」
「ええ。ちょっと大がかりになるけどね。やってみる?」
「はい」
リンちゃんとポーリャの声が重なる。
* * * * *
机を隅に運び、床を汚れから守るように新聞紙を敷き、壁掛けカレンダーほどの
大きさの白い紙に、腕まくりをした姫野先生は魔方陣を描く。
「はい、完成。ここに向かって呪文を唱えると、ぬいぐるみができるわ」
魔方陣を描き終えた姫野先生がお茶を飲もうとすると、ポットがスコッと鳴る。
「私、行ってきますね。それとありがとう、ポーちゃん」
リンちゃんはそう言ってポットを持って水をくみに出かける。
(どういうぬいぐるみが良いかな……音を中心にやってみようかな)
リンちゃんは呪文を考ながら、周りを見つつ、廊下を歩く。