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変わろうとする記念日
「なら、一息入れましょうか」
お茶を口に含むと、ほのかな甘味がする。
「ねえ、ポーちゃん。急ぐと危険っていうのは廊下や階段とか一緒なの?」
お茶の香りと味を楽しみつつ、リンちゃんはポーリャに問いかけた。
「それもある」
ポーリャは答える。
「変わるなら、ゆっくり時間をかけて」
少し間をおいて、またポーリャが口を開く。
「急ぐと、反発されるって、父さんが」
「さっきみたいに、ね」
姫野先生の言葉に、考えながら話すポーリャはコクリと首を縦に振る。
「いつかできれば良いの。明日でも一週間後でも、じっくりと時間をかけてでも、
変わっていけたら良いよね。大切なのは、変わろうとし続けることだからね」
優しい目と口調で話す姫野先生は、リンちゃんは変わっていこうと決意する。
ふとリンちゃんがポーリャを見ると、ポーリャも同じ顔をしていた。
「今日は変わろうとする記念日だね。思い出に魔法でぬいぐるみを作ってみる?」