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おちつこう
「あの、先生」
「どうしたの、リンちゃん」
「魔法をもっと上手に使うには、どうしたら良いですか?」
リンちゃんの質問に姫野先生は答える。
「それは昨日の大雪と、関係あるのかな?」
「はい。魔法は内緒、ですよね」
リンちゃんは、家族で見た昨日のニュースを思い出す。
「だから私、もっとちゃんと、早く魔法を使えるようになりたいの」
「急ぎすぎ」
熱く語るリンちゃんに、ポーリャが水を差す。
「えー、なんで?」
「変化はゆっくり。急は危険」
二人の様子を見ながら、姫野先生はお茶を淹れる。
甘くて柔らかい香りが、教室を包み、リンちゃんとポーリャの雰囲気が和らぐ。
「ナスタチウムよ。お茶でも飲んで落ち着きましょう」
「……『水でも飲んで』な気がします」