音が彩る幻想を

第五話 魔法でつくるぬいぐるみ

部活の話

　リンちゃんには心(こころ)当(あ)たりがある。

　頭(あたま)の中(なか)でクラスメートの特徴(とくちょう)と名前(なまえ)を、何度(なんど)も繰(く)り返(かえ)したため、覚(おぼ)えられた。

「昨日(きのう)助(たす)けた子(こ)と、マレーシア出身(しゅっしん)でインド系(けい)の子(こ)ですね」

「そうよ。朝霧(あさぎり)さんは委員会(いいんかい)、マリー君(くん)は家(いえ)の手伝(てつだ)いと習(なら)いごとをやりたいって」

（マリー君《くん》は家《いえ》がインドカレー店《てん》って自己紹介《じこしょうかい》していたっけ）

　　　　　＊　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

「はい、そろそろマジックの話(はなし)をするよ。やりたい手品(てじな)、決(き)めたかな？」

　姫野先生(ひめのせんせい)は話(はなし)を切(き)り替(か)える。

「シルクハット、使(つか)つやつ」

　ポーリャが答(こた)える。

「私(わたし)はボールかな。宙(ちゅう)に投(な)げてどんどん増(ふ)えていくやつ、やってみたい」

　リンちゃんが答(こた)える。

「良(い)いわよ。そっち方面(ほうめん)の練習(れんしゅう)もちょっとずつしていこうか」

　姫野先生(ひめのせんせい)は、ポーリャとリンちゃんに答(こた)えると、マジック用(よう)の杖(つえ)を手(と)に取(と)った。