41/165
登校風景
第五話 魔法で作るぬいぐるみ
「おはよう。リンちゃん」
「おはよう。ポーちゃん」
ポーリャに後ろから挨拶され、リンちゃんは髪を揺らして振り向く。
昨日の雪もずいぶん解け、春が二重崎白町を包んでいる。
「そう言えば昨日、お兄ちゃんから雪だるまが送られてきたよ」
苦笑いを浮かべ、ポーリャに話すリンちゃん。
「寒いところにいるんだね」
リンちゃんには兄がいる。大学生で一人暮らしをしている。
「郷土史の勉強で今は東北にいるんだって」
「リンちゃんは将来一人暮らしはする?」
「どうかな。お父さんやお母さんと一緒に住みたいとも思うから……」
少し考えてから、ポーリャに伝えるリンちゃん。
「そのときになったら決めるね。今は家族の時間が大切かな」