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吹いた風
その直後、朝霧の姿が消えた。足でも滑らせたのだろうか。
さらにその上に木から雪が落ち、雪山に埋もれる。
リンちゃんは助けようと雪の校庭に走り出す。
雪に足がはまる。リンちゃんの膝以上に雪が積もっていた。
それでも、ただひたすらに前に進もうとするリンちゃん。
(早く行くんだ!私のせいだから……私が雪なんて降らせたから!)
気持ちばかりが焦るリンちゃん。
次の瞬間、風が吹いた。ごおっと強い風がリンちゃんの後ろから抜ける。
リンちゃんは後ろを振り向き、すぐさま前を向く。
「ポーちゃん……?」
雪山に通り過ぎたポーリャは少し引き返し、埋もれた朝霧を助け出す。
ポーリャはリンちゃんも担ぐと、渡り廊下まで運ぶ。
「朝霧さん気絶中。保健室に運ぼう」
「あ、うん……ポーちゃんも魔女だったの?」
「うん」
リンちゃんの質問に、淡々と答えるポーリャ。