36/165
昔と今の思い出に
キャップ帽を被り、虫取り網と虫かご、虫メガネを持って出かけ、帰りが遅れた
あの日以降、約束は必ず守ると、リンちゃんは心に決めている。
「いろいろあるよ。どれにする?」
本を見ていたポーリャが、おいでおいでと手招きする。
「見せてー。どんなのがあるの?」
ポーリャと向かい合わせに座り、リンちゃんは一緒に本を読む。
外が銀色に染まる中、静かな教室では、柔らかくも温かな時間が続いていた。
* * * * *
「チャイムだ。えー、もうそんな時間なのー」
「続きは放課後」
「はーい……はえ?」
ポーリャに背中を押され、リンちゃんは教室を出ると、目を白黒させた。