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マジック研究
「どうしたの?杖出して」
「え、えーと……そう練習、そうマジックの練習をしたくて」
「なら研究会の教室に行こう。誰かいると大変」
ポーリャはそう話すと、マジック研究会の教室に足を向ける。
「誰かいたら大変だもんね……って、待ってよ、ポーちゃん。一緒に行こうよ」
すたすたと歩いていくポーリャを、リンちゃんは泡を食って追いかける。
「追いついたー。マジック研究会の教室って遠いよね」
「旧校舎の奥だから」
「ポッドの水くみ、次は私が行くね。手洗い場からも遠いし」
環簪花中学校の部活動は、朝は自主参加で、生徒に一任されている。
リンちゃんがマジック研究会の教室に入ると、教壇に本が積まれていた。
「『新しく入会した人は、自分のマジックを選んでおいてくださいね』だって」
教室にいるのはリンちゃんとポーリャだけで、黒板を見て話すポーリャ。
(手品かー……どんなのが良いのかな)