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心の音色
「ちょっと行ってくるね、ポーちゃん」
学校に着くと、リンちゃんは一目散に隠れやすそうな場所に向かう。
リンちゃんは周囲を確認して、杖をケースから取り出すと、呪文を唱える。
――音色よ、音色、音の色
はらはらと舞う、雪景色
積もってみせて、雪模様
呪文を唱え終え、リンちゃんが青空を見ると、雲が流れてきた。
雲が太陽を覆うと、雪が本格的に振り出した。
(やった。成功!思い浮かんだ心の音を奏でるようにやると、うまく行くのね)
「リンちゃん」
リンちゃんが喜んでいると、ポーリャの声が後ろから響き、ビクッと振り向く。
「ポ、ポーちゃん!」
「リンちゃんは迷子になりやすい」
それはポーちゃんでしょ、と口を開きかけ、リンちゃんは言葉をのみこんだ。