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雪の思い出
「あ、雪だ」
ポーリャの声にリンちゃんは空を見る。
「本当だ。奇麗……」
晴れている空に雪がほんの少し、はらはらと舞う。
「風で流れてきたのかな」
リンちゃんが空から視線を戻すと、ポーリャは雪に手をかざしていた。
「私、雪って大好き!積もるかな、ポー――」
ポーリャがかもし出す神秘的な雰囲気に、リンちゃんは口をつぐむ。
リンちゃんとポーリャはてくてくと学校に歩く。
(お父さんを思い出しているのかな)
リンちゃんはポーリャの家に遊びに行ったときを思い出す。
(いつだったか、ポーちゃんのおじいちゃんが教えてくれたの。お母さんは全国を
飛び回っていて、お父さんは天国で見守っている、って)
足を止めて、雪に手をかざしているポーリャを見て、リンちゃんは思いつく。
(雪だるま作っていた思い出があるんだよね……そうだ!魔法で雪を降らせよう)