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魔法力切れ
「ふえ?」
「は?」とも「え?」とも取れる声をリンちゃんは出す。
「魔法力が切れちゃったわね」
「えー!」
リンちゃんが杖を振る度に、音が楽しげに鳴り出す。
(これはこれで楽しいかも)
「リンちゃん」
たった一言。姫野先生の発したその言葉に、リンちゃんはビクッとし、動きをピタッと止める。
「杖は大切に扱う、でしたね」
「はい」
姫野先生はにっこりとほほ笑んだ。
(もっとちゃんとイメージできるようになろう。立派な魔女になるために!)
自分で蒔いた種とは言え、とほほと思いながらも、リンちゃんはそう決意した。