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浮かぶもの
リンちゃんのすぐ近くに、青いボールがポンっと出る。次は赤、その次は橙。
そして黄色、緑、紫、白、黒と、いろんなボールが生まれていく。
それぞれのボールは、色合いが強まったり弱くなったりと変わっていく。
「あー…………」
野球やサッカー、バスケット、テニス、ピンポン玉と、いろいろな種類のボールが、ぷかぷかと浮いていた。
再現したかったものとは程遠い状況に、リンちゃんの目に困惑の色が浮かぶ。
「……もう一回」
ぷかぷか浮いていたボールが消え、リンちゃんはそう言って、振った杖を持ち直す。
ピロン♪
「あれ?」
リンちゃんはもう一度杖を軽く振ってみた。
ポロリン♪