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イメージしよう
(先生の言うようにイメージをもっとはっきりさせてから、魔法を使おう)
目を閉じたリンちゃんは具体的に昨日の出会いを、心のキャンパスに描く。
(例えば、青。空の青に海の青、水の青、群青、青緑、青紫……いろんな青が
あるから、その青をちゃんとイメージしよう。あ、身近なものにも青あったよね)
リンちゃんはイメージする。空を。海を。水を。身近なものから青を連想する。
(次は赤。その次は橙、黄色、緑、紫、白、黒。思い出そう。身近な色を)
家の花壇やぬいぐるみ、街の風景、学校、車、駅、電車、公園、森、神社……
そしてなにより昨日の姫野先生との出会いを、リンちゃんは思い出す。
頭の中にくっきりと、鮮やかな色が浮かんできた。
(今なら!)
リンちゃんは目を開けて、呪文を唱える。
――音色よ、音色、音の色
あの思い出を、出してみて
色取り豊かに、鮮やかに